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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県域水道一体化 経営統合の論議に戻らず 統一料金で新試算か

山下知事が批判する前知事時代の一体化料金試算。大淀町を除く参加25市町村で一斉値下げになり、経営が良好な県北部自治体の水道料金“移転”が注目された

山下知事が批判する前知事時代の一体化料金試算。大淀町を除く参加25市町村で一斉値下げになり、経営が良好な県北部自治体の水道料金“移転”が注目された

 荒井正吾前知事時代に進められた奈良県域水道一体化試算の見直しに意欲を示す山下真知事は8月23日の定例会見で、異なる料金体系が特徴となる経営統合の論議は出ていないことを明らかにした。

 前知事は、料金別体系の経営統合をした後の10年以内に料金統一の事業統合に移行すると表明していたが2020年、統合当初から事業統合する方針に転換。2021年、関係市町村との覚書締結で投稿時期は2025年4月と決めた。

 定例会見で「経営統合に切り替える議論はあるか」と記者が質問し、知事は「そういう議論にはなっていない」と答えた。

 山下知事は一体化の料金試算をやり直す考えだが、このまま推移すると、統一料金を前提とした30年先までの試算が検討されそうだ。

 料金試算の在り方を巡っては、昨年10月、一体化の協議から離脱した奈良市が、施設の維持管理に関する委託費の統合効果想定縮減率などで、県水道局の方針より厳しい数値を用いて試算したことがある。

 知事は会見で、県内市町村と県営水道の浄水場、配水池、水道管などの老朽化状況を地図上に落とし、30年先までの工事の順番目標が一目瞭然となるようなペーパーを作成するよう県水道局に指示し、作業は進んでいるとした。

 一体化の受け皿となる県広域水道企業団(一部事務組合)設立の可否を問う関係市町村議会の議決を控え、知事は「きちんとした道筋を示すので(26市町村などが)参加するしないを判断してもらいたい」と述べた。

 今年2回目となる企業団設立に向けた次回法定協議会を知事は年内に開く。開催時期は「早ければ10月。遅くとも12月」とした。今年7月の第1回法定協で知事は前知事時代の料金試算を「甘い」と批判。次回は新しい方向が提示されるもよう。 関連記事へ

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