水道、単独経営の方針変わりない 奈良市長が言明 山下知事の一体化統一料金こだわらずの表明に
定例会見で県域水道一体化に関し「単独経営の方針に変わりはない」と述べる仲川げん奈良市長=2023年7月27日、同市役所
仲川げん奈良市長は7月27日の定例会見で、山下真知事が県域水道一体化の受け皿となる県広域水道企業団の今月21日の設立準備協議会で、水道料金の統一にこだわらないと表明したことなどについて、「奈良市はすでに(一体化に参加しないと)判断しており、単独経営でやっていく方針に変わりはない」と言明した。
市長は「一体化は統一料金を根幹としてスタートしており、これを違えるのであれば、枠組みは崩壊してゼロから議論をし直すことになる」との見方を示した上で、「国の財政支援の期限が迫っている。限られた時間の中で(再度)市町村の議会、住民の合意を取り付けるのはハードな取り組みになると思う」と感想を述べた。
また、水道事業の市町村間の連携については否定しなかったが、あらためて協議に加わる考えはあるかとの記者の問いには「県とボールを投げられた市町村がどう関係を再構築できるのかという点が重要。そこができてないのに奈良市が乗り込むのは変な話」と述べた。
県と26市町村長らが出席した21日の設立準備協議会では首長の間から「統合時に統一料金を外すとしたら、全関係市町村の議決を経た基本合意の前提が崩れるので、いったん枠組みは解散すべきでは。奈良市が参加しやすい条件を見いだせるかもしれない」との意見もあった。
今年5月に退任した荒井正吾前知事の下では統一料金による一体化を前提に、2025年4月の事業開始を目指し計画が進められてきた。料金は市町村間で差が著しく、統一を巡っては安い自治体に合わせて設定された。料金が高い自治体に一体化参加は利点があった。一方、料金が安く経営が安定している奈良市は、経営が良い自治体が良くない自治体を補完する一体化の枠組みに参加する利点はないと判断した。 関連記事へ