小学校の統廃合検討する諮問機関の委員選任 公開の会議傍聴しても氏名分からず 奈良県香芝市教委開催
奈良県香芝市教育委員会がある同市役所=同市本町
奈良県香芝市教育委員会(小西友吉教育長)は6月21日に公開で開いた定例会で、市内小学校の統廃合について保護者や住民から意見聞くため設置する諮問機関「香芝市望ましい学校環境検討委員会」の委員13人の選任を議決したが、傍聴に来ていた人たちは誰が委員に選ばれたのか分からなかった。
議決に当たって、傍聴者にも分かるように委員予定者の氏名を読み上げたり、議案資料として委員の名簿を配布したりしなかった。傍聴者は、公開の会議を傍聴しても議決内容の実質的な部分を知ることができなかった。市教委事務局総務課は委員名の公表について、委嘱状を手渡した後に行う段取りになっているとしている。
市教育委員会は小西教育長と4人の教育委員で構成される。地方教育行政法、香芝市教育委員会会議規則は会議の公開を義務付けている。この日の定例会の傍聴者は「奈良の声」記者を含め数人いた。議決に当たっては、市教委事務局が議案を説明後、原案通り可決された。教育委員の手元には検討委員会の委員予定者の名簿が配布されていた。
検討委員会委員13人の選出区分は、識見を有する者2人、PTAの代表者3人、地域住民の代表者6人、教育関係職員2人。市教委ホームページで事前に公開された定例会開催のお知らせには、選出区分別の委員名簿が氏名の部分を黒塗りにして伏せた形で掲載されている。
市教委事務局教育部次長は定例会終了後、「奈良の声」の取材に対し「議決前に委員名を公表すると、否決された場合に氏名が出た人たちの名誉を傷つける」と述べた。議決後に氏名を読み上げる方法もあったのではないかとの質問には「そこまで考えていなかった」と述べた。
同市では、市内の3小学校が統廃合の対象となる「市学校施設の再編等に関する基本方針」が昨年3月、市議会で賛成多数で可決された。この5月の市長選では争点となるなど、検討委員会の議論の行方に市民の関心が集まっている。