議長が会長の諮問機関廃止 奈良県香芝・新市長 二元代表制の形骸化、「奈良の声」指摘 小学校統廃合など検討
香芝市が開示した市公有財産有効活用検討会議の中間報告(木原敏洋さん提供、下線などは開示後に引いたもの)
奈良県香芝市は、福岡憲宏前市長時代に川田裕市議会議長の提案で設置された市長の諮問機関「市公有財産有効活用検討会議」を6月19日付で廃止した。会長には川田議長が就任していた。この5月の市長選で当選した三橋和史市長は初登庁の職員訓示で、意見への対応や情報提供の在り方で、特定の議員にのみ重きを置かないよう求めていた。
「奈良の声」は同検討会議について、二元代表制の形骸化が懸念されると記事で指摘してきた。
同検討会議の設置は2022年7月。委員は川田議長のほか、市の各部局の長と議長の助言で選任された議員2人。会議は非公開で、委員以外の議員への検討内容の報告もなかった。こうした運営の下で、統廃合を伴う小学校再編や公立幼稚園・保育所再編の基本方針が検討され、市や市教育委員会の議案として議会に提出され、可決された。検討結果は中間報告として当時の福岡市長に提出された。特定の議員だけが議会と執行機関の境界を越えて市長の方針決定に関り、議会への提案前にその内容を知っていた。
市企画政策課によると、6月18日に開かれた同検討会議の第6回会議で、会長の川田議長が、検討会議について一定の役割を終えたとして廃止に向け委員の意見を聞いたという。委員も了承したという。市は翌19日付で検討会議の設置根拠となっている検討会議設置要綱を廃止した。過去の会議録によると、設置期間については「少なくとも2年間は継続する必要がある」としていた。
同検討会議の活動は、市民の木原敏洋さん(78)が行った会議録などの開示請求で明らかになった。小学校の統廃合に反対する運動に取り組んできた木原さんは、検討会議の廃止について「地方自治法などに照らせば廃止しかない。新市長は早速、決断。まともな判断だと思う。しかし、市議会で議決された小学校統廃合の方針は検討会議がなくなっても消えない。検討会議で決めたことは効力がないとの確認がほしい」と話した。