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浅野善一

クラブ非加盟「奈良の声」にも本会議の撮影許可 議長交代で奈良県香芝市議会

議長の許可を受けて撮影した定例会本会議。中央は閉会のあいさつをする三橋和史市長=2024年12月16日、奈良県香芝市議会、浅野善一撮影

議長の許可を受けて撮影した定例会本会議。中央は閉会のあいさつをする三橋和史市長=2024年12月16日、奈良県香芝市議会、浅野善一撮影

 

 奈良県香芝市議会は記者クラブ非加盟の「奈良の声」に対し、12月16日の定例会本会議の写真撮影、録音を許可した。2024年6月の定例会ではクラブに加盟していないことを理由に許可されなかった。この間の議長の交代で対応が変わった。同市議会では、議員の辞職勧告決議などを受けていた川田裕議員(無所属)が12月2日に議長を辞任、新しく中村良路議員(無所属)が議長に就任した。

 「奈良の声」は12月13日に議会事務局に対し、議場での本会議の撮影と録音の許可を求め、同日、事務局から中村議長の許可を得られたとの連絡があった。同市議会傍聴規則は、傍聴席での撮影、録音を禁じているが、「議長の許可を得た者は、この限りでない」としており、記者クラブ加盟の報道機関はその都度、申請、許可を受けている。

 12月16日は定例会の最終日で、12月2日からの会期期間中に審議された提出議案の採決などが行われた。中村議長は本会議の冒頭、報道機関に撮影を許可している旨を告げた。「奈良の声」のほか、大和高田市政記者クラブ所属の新聞社の記者らが記者席から撮影をした。

 「奈良の声」に対する6月の不許可の経緯は次のようなものだった。6月24日の定例会初日が、三橋和史新市長の就任後初の所信表明の機会であったため、撮影の許可を求めた。これに対し、議会事務局を通じた当時の川田議長の回答は「議場の傍聴席には一般席と記者席があり、撮影は記者席からの撮影を認めているとし、記者席の使用は記者クラブに対し認めている」だった。

 この記者席の使用を巡っては、これまで記者席の入り口扉に「記者席は、記者クラブ所属の記者に限る」との張り紙があった。2023年6月の定例会ごろに突然掲示された。当時、「奈良の声」は同市議会の議員に対する懲罰問題などを継続的に伝えていた。張り紙は今回、「奈良の声」が撮影を許可されたの機に撤去された。同市議会議長は議員改選後の2021年以降、川田議員が務めていた。

 奈良市や生駒市、大和郡山市などの議会では記者クラブ非加盟の取材者に対しても本会議の撮影の許可している。

辞任の川田前議長「無実の者への不信任」と決議案提出 賛成多数で可決  

 2024年9月の市議会定例会で正副議長に対する不信任決議案と議員辞職勧告決議案が可決され、12月2日に議長を辞任した川田裕議員は、議会運営に違法または市議会会議規則違反はなかったとして、12月16日の定例会本会議に、「無実の者に不信任または辞職勧告の提出を行わない決議」案を提出。議会は賛成多数で可決した。議長不信任決議案に賛成した議員の一部も川田議員の決議案に賛同した。

 川田議員は決議案の提案理由で「不信任案の提案理由を法的に確認したところ、(議会運営に)違法または会議規則違反は一切ない。感情だけに偏ると思えるような不信任案の提出は、議会の秩序に関する重大な問題」などと主張、「事実認定をすることなく無実の者に不信任を提案するような行為を行わない」との決議を求めた。

 これに対し、決議案に反対する議員は「感情でというのは大きな誤り。事実をもって諮った」「不信任決議案になぜ皆(全会一致で)賛成したのか。(川田議員の)決議案への賛成は由々しき問題」などと批判。一方、賛成する議員は「不信任案はいっときの感情をもって提出すべきでない。第三者機関に諮るべき」「9月の不信任とは別に提出は慎重にすべきというのは当然」などと反論した。

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