県内全12市議会が撮影許可 「奈良の声」3月定例会取材 記者クラブ非加盟問わず
左上から時計回りに奈良市議会定例会(2025年3月6日)、大和高田市議会定例会(3月21日)、天理市議会定例会(3月17日)、大和郡山市議会定例会(3月17日)=浅野善一撮影
「奈良の声」が昨年6月、奈良県香芝市議会に対し定例会の写真撮影と録音の許可を求めたところ、当時の議長は記者クラブ非加盟を理由に許可しなかった。ほかの市議会はどうなのか。この3月の県内全12市議会の定例会では、議長が代わった香芝市議会を含め、すべての市議会が「奈良の声」の写真撮影と録音を許可した。
左上から時計回りに橿原市議会定例会(2025年3月21日)、桜井市議会定例会(3月12日)、御所市議会定例会(3月4日)、五條市議会定例会(3月10日)=浅野善一撮影
左上から時計回りに生駒市議会定例会(2025年3月5日)、香芝市議会定例会(3月7日)、宇陀市議会定例会(3月18日)、葛城市議会定例会(3月10日)=浅野善一撮影
「奈良の声」は奈良、大和高田、大和郡山、天理、橿原、桜井、五條、御所、生駒、香芝、葛城、宇陀の12市議会に対し、定例会本会議の主に議員の一般質問を対象に写真撮影と録音の許可を求めた。各議会が定めている一般的な傍聴規則は、傍聴席での撮影、録音を禁じているが、「議長の許可を得た者は、この限りでない」としており、新聞やテレビなど各市政記者クラブ加盟の報道機関もその都度、許可を求めている。
「奈良の声」は、各市議会の議会事務局にウェブのニュースメディアであることや撮影と録音を行いたい日を伝え、議長の許可を求めた。多くの場合、事前に許可の連絡があり、当日、議長が会議の冒頭で報道機関に撮影などを許可していることを告げた。許可を求めた際に記者クラブ加盟の有無を問題にされることはなかった。
異なる形もあって、生駒は、報道関係者対象の申請書が議会事務局に用意されていて、当日、その場で提出すれば許可を得られる。葛城は当日、議長が会議の冒頭で議員に是非を諮った上で許可していた。宇陀は、定例会の初日に一括して期間中の報道機関による撮影などを許可していた。
奈良、大和郡山、生駒についてはこの3月定例会より以前から、「奈良の声」は撮影と録音を許可されていた。香芝も議長が代わった昨年12月の定例会から許可されるようになった。
県議会に対しても同様に定例会の写真撮影と録音の許可を求めたが、「県政・経済記者クラブ非加盟社は受け付けない」として認められなかった。しかし、議会事務局によると、これをきっかけにクラブ非加盟の報道関係者からの許可申請があった場合の可否の判断基準について、議会運営委員会で協議が行われた。
その結果、次の6月定例会から、受け付けた上で可否を判断することになったという。ただ、許可の対象は写真撮影のみとし、動画撮影と録音は許可しないことを確認したという。「自称記者」やユーチューバーへの対策をその理由とした。
「奈良の声」が昨年6月に撮影と録音の許可を求めた香芝市議会定例会は、三橋和史新市長の就任後初の所信表明が予定されていた。議会事務局を通じた川田裕議長(当時)の回答は不許可で、理由は「議場の傍聴席には一般席と記者席があり、撮影は記者席からの撮影を認めているとし、記者席の使用は記者クラブに対し認めている」だった。
同市議会傍聴規則などに、記者席の使用を記者クラブに限定するという規程はない。「奈良の声」の今回の県内各市議会の定例会取材では、傍聴席に記者席があればそこに案内された。
川田議長は議員辞職勧告決議などを受けて、昨年12月の定例会で議長を辞任。代わって中村良路議員(今年3月31日の任期満了で引退)が議長に就任すると判断は一転し、「奈良の声」にも撮影と録音が許可されるようになった。
「奈良の声」はこの間、香芝市議会で起きた議員への懲罰を巡る問題や川田議員ら特定の議員が市長(前職時代)の諮問機関に参加することの是非について、繰り返し取り上げてきた。
記者クラブは任意の親睦団体で、加盟が行政当局や議会への取材資格を意味するわけではないが、県や市町村などは報道機関を代表する団体として会見や記者発表を行う一方、庁舎の1室を記者室として提供するなどの便宜を図っている。
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