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浅野善一

議長への不信任決議案動議、不成立 奈良県香芝市議会 起立あるも賛成者と認めず

奈良県香芝市役所=同市本町

奈良県香芝市役所=同市本町

 奈良県香芝市議会の7月10日の定例会本会議で、議長への不信任決議案の動議が提起されたが、成立しなかった。議長が賛成者の起立を求めた際、起立した議員は複数いて、数の上では要件を満たしていた。しかし、議長は起立の仕方が明確ではなかったことを理由に認めなかった。

 この日は定例会の最終日で、予定されていたすべての議案の採決が終わった直後に、真鍋亜樹議員(無所属)が川田裕議長(無所属)に対する議長職の不信任決議案を議題とすることを提起した。

 これを受けて川田議長が賛成者の起立を求めると、真鍋議員を除いて4人が起立した。しかし、議長は「所定の賛成者がいない」と述べて、動議の不成立を宣言した。起立した議員から「立ってたよ」と声が上がると、議長は「立って座った」と述べ起立として認めなかった。

 同市議会会議規則は動議について「2人以上の賛成者がなければ議題とすることができない」と定めている。動議提起者のほかに少なくとも1人の賛成者がいれば動議は成立する。

 川田議長は本会議終了後、「奈良の声」の取材に応じた。議長は起立した議員がいたことについて「人数を数えようとしたときには座っていて、起立者はゼロだった。録画でも確認した。起立者がいたら数え終わった後に『お座りください』となるが、そうしたことはなかった。自分に関わる動議だから、そのようにしたわけではない」と釈明した。

 これに対し、起立した議員の1人、筒井寛議員(enjoy香芝)は、当時の状況について「周りにも起立している複数の議員を確認した上で、議長の方を見たら、議長もこちらを見ていた」と説明。「何秒間、起立したままでなければとか、『お座りください』と言われるまで起立したままでなければとかいうルールはないはず。動議は成立したと考えるべきで、問題のある議会運営ではなかったか」と批判した。

 「中立の立場」だとする木下充啓議員(自民)は「批判するつもりはないが、ルールに基づいて『お座りください』と言われる前になぜ座ったのか不思議」とする一方、「起立した事実もあり、座ったからといって(議長は)もう一度確認することもできた」との見解を示した。また「不信任決議案という議題に対し、きちんとルールに基づいて判断しようとしたのも理解できる」とも述べた。

 市議会内では、多数派を形成してきた川田議長の議会運営に対し、不満がくすぶっている。

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