議長の不信任を全会一致で決議 奈良県香芝市議会 前回の動議不成立受け再提起
奈良県香芝市役所=同市本町
奈良県香芝市議会は9月2日の定例会本会議で、川田裕議長に議長職の辞職を求める不信任決議案を全会一致で可決した。川田議長に対しては今年7月の定例会でも不信任決議案の動議があったが、川田議長は賛成の起立者が着席した後に起立者なしと宣言して不成立としていた。
前回も動議を提起した真鍋亜樹議員(無所属)が本会議の冒頭、川田議長の不信任決議案を議題とすることを提起。採決により同動議が成立、議案として審議することが決まった。
真鍋議員はこれを受け決議案の提案理由について説明。川田議長が7月10日の6月定例会で不信任決議案の動議を不成立としたことに対し「4名の起立賛成者があったにもかかわらず、これを数えず賛成者なしとし動議を不成立とした。起立による賛成者の意思が分かりづらいなら、その時点で再度、確認が行われてしかるべき」とし、過去の動議の採決で再度の確認が行われた例を挙げ、「中立公正性に欠け、恣意的に偏った議会運営と言わざるを得ない」と述べた。
川田議長はこの当時、「人数を数えようとしたときには座っていて、起立者はゼロだった。起立者がいたら数え終わった後に『お座りください』となるが、そうしたことはなかった」と反論していた。
この日、決議案の審議に当たっては当事者となる川田議長は退場し、代わって中谷一輝副議長が議長を務めた。中谷副議長は市議会会議規則の規定を理由に決議案の審議を総務建設委員会に付託すると宣言した。しかし、議員から反対意見があり撤回。すぐに採決が行われ、決議案は異議なく全会一致で可決された。
決議案を委員会に付託しようとした中谷副議長に対しても、不信任決議案が提出され、全会一致で可決された。
「奈良の声」の取材に応じた川田議長は不信任決議について「真摯(しんし)に受け止めていきたい」と述べる一方、前回の動議を不成立としたことについては「恣意的にやったとか間違ったことをやったとは思っていない。市議会会議規則通りにやった」と述べた。委員会への付託がなかったことに対しては「反論の機会がなかった」と不満を述べた。不信任決議に法的拘束力はなく、進退については「(香芝市が構成団体となっている)一部事務組合の議員も三つほど務めており、10~11月に議会がある。それまではやめられない」と議長を続投する考えを示した。