情報公開に手数料、条例改正案を可決 奈良県香芝市議会 市町村多くが無料の中、有料化
奈良県香芝市役所=同市本町、浅野善一撮影
奈良県香芝市が情報公開制度の利用者に手数料の負担を求めるため、市議会3月定例会に提出していた情報公開条例改正案が、同月7日の本会議で賛成多数で可決された。県内12市で住民から手数料を徴収するのは五條に次いで2例目となるが、制度の趣旨から町村を含め多くは無料。一方で最近の動向として、県が昨年6月、目的を逸脱した大量請求への対策を理由に有料化に踏み切り、同年11月に設立された一部事務組合の県広域水道企業団の条例も県に倣った。
採決に当たっての討論では、青木恒子議員(共産)が反対の立場から、川田裕議員(無所属)が賛成の立場から、それぞれ意見を述べた。
青木議員は「情報公開制度は大きな役割を果たしてきた」と述べ、その理由として、前市長時代に、統廃合を伴う市の小学校再編の基本方針が前議長(川田議員)ら特定の議員と市の各部局長による市公有財産有効活用検討会議で進められていたことが、市民の開示請求で明らかになったことを挙げた。このことが「市政への不信になっている」と主張、「信頼回復のため無料にしておくべき。物価高騰の中、なぜ今値上げをするのか」と訴えた。
一方、川田議員は300円の手数料について「住民の知る権利を変更するものではなく、情報公開制度の乱用を防ぐためのもの」と訴えた。公有財産有効活用検討会議を巡る青木議員の指摘に対しては「検討会議では、学校再編に関しての決定は何も行われていない」と反論した。
採決では、議長を除く15人のうち川田議員ら13人が賛成、青木議員ら共産党の2人が反対した。
新条例では開示請求1件につき300円の手数料を徴収する。これまで開示請求者は、開示文書の複写代(白黒なら1枚10円)など実費だけを負担していた。今後、実費については300円分までは手数料が充当されるようになるが、枚数が少ない場合は実費以上の負担となる。また、閲覧のみの場合も手数料が必要となる。施行は今年6月1日。
市は改正理由について「公平性の点から利用する人に応分の負担を求める」などと説明していた。改正案を提出した三橋和史市長は昨年5月の選挙で初当選した。
県内12市で手数料を徴収しているのは橿原、五條、生駒の3市。橿原は市民は無料で、市外の人は1件300円。五條は開示請求権を市民などに限定しているが1件200円。生駒は法人が業務のため行う開示請求は1件100円だが、それ以外は無料。県は1件300円(アプリ利用の場合は200円)。市以外では王寺町や安堵町が徴収している。