情報公開に手数料 奈良県香芝市議会総務建設委が条例改正案可決 大半が賛成、発言少数
奈良県香芝市役所=2024年6月、同市本町、浅野善一撮影
奈良県香芝市が情報公開制度に手数料を導入するため、開会中の市議会3月定例会に提出している情報公開条例改正案が、審議が付託されている総務建設委員会(木下充啓委員長、8人)で賛成多数で可決された。採決に参加しない委員長を除く7人のうち6人が賛成した。発言した委員は賛成反対それぞれ1人と少数だった。県内全12市のうち3市が手数料を徴収しているが、請求者が法人か否か、住民か否かに関わりなく徴収しているのは五條のみ。3月7日の定例会本会議で採決が行われる予定。
同条例は第1条の目的で「住民主権」「(住民が)行政文書の開示を請求する権利」「(市が)住民に説明する責務」を掲げている。改正案では開示請求1件につき300円の手数料を徴収する。開示文書の複写代など実費は現在も請求者が負担している。請求は誰でもできる。県も昨年6月に同額の手数料を導入している。
市は質疑で手数料を導入する理由について2点を挙げた。1点目では「情報公開の事務手続きには一定の人件費などがかかっている。利用しない人もおり、公平性の点から利用する人に応分の負担を求める」とした。2点目では「(昨年5月に就任した)三橋和史市長は必要な市政の情報をいち早く知らしめる広報活動を積極的に行っており、行政の説明責任を一定果たしている」とした。
採決に当たって反対意見を述べたのは青木恒子委員(共産)。「他市では、住民は無料というところがほとんど。香芝市の改正は行き過ぎている」とし、市民の関心を集めた小学校の統廃合方針の検討過程については「市民の情報開示で明らかになった」と指摘。「物価高の中でさらに手数料を徴収し、しかも閲覧するだけで300円というのは大きな変更」とした。
一方、賛成意見を述べたのは川田裕委員(無所属)。開示請求について「一定の者の乱用も含まれる。健全な情報公開制度がゆがめられる可能性もあり、一定の制限があってもおかしくない」と前置きした上で、「市民には知る権利がある。その範囲内で開示されるものについては、一定の料金はかかるが、(権利が)拘束されるということではない」とした。