情報公開手数料創設「国や県に倣った」 奈良県香芝市、条例改正案提出で答弁
奈良県香芝市議会3月定例会に情報公開条例改正案を提出した三橋和史市長=2025年2月17日、同市議会、浅野善一撮影
情報公開制度利用者への手数料の創設を目指す奈良県香芝市の三橋和史市長は、2月17日開会の市議会3月定例会に、市情報公開条例の改正案を提出した。市は提案理由について「制度の利用適正化に向け、既に手数料が定められている国や奈良県に倣った」と説明した。
改正案では条例に基づく開示請求に対し、1件につき300円の手数料を徴収する。文書の交付に伴う複写代などの実費は現在も請求者が負担している。
現条例では、請求者が負担するのは複写(白黒なら1枚10円)の枚数などに応じた実費のみで、閲覧のみの場合は無料。一方、改正案では実費に対し手数料が充当される仕組みになっている。白黒30枚までなら実費は不要となるものの、枚数や閲覧のみかどうかにかかわらず1件につき最低でも300円かかることになる。
質疑では条例改正の目的ほか、手数料の額の根拠や影響について質問があった。
市長公室長は額の根拠について「開示請求では記載事項の確認等の受け付け事務などさまざまな事務があり、人件費や(通知の)郵送料などの費用が想定される」と述べた。その上で「国が(情報公開法の)開示手数料を設定した際の考え方に倣って必要最小限の費用を試算すると、5年間で1件当たりの平均額が300円強となった」と説明した。
一方、影響については「30枚未満の情報公開をした場合、利用者には負担増になる。情報公開のスタンスが少し後退するのではないか」との指摘に対し、市長公室長は「(実費より)多くの費用負担をしていただくことにはなるが、情報公開制度の利用適正化に向けた改正であり理解いただきたい」と答弁した。
香芝市が倣ったとする県は「制度の利用適正化」を理由に昨年6月から手数料を徴収している。金額は1件につき300円(県の場合、アプリを利用すれば200円)。県ホームページで公開されている当時の資料は手数料創設の経緯について「開示請求の中には開示の実施が行われない(請求しておきながら実際には開示を受けようとしない)もの、また興味本位と思われるような本来の情報公開制度の目的を著しく逸脱するような大量の請求も発生」と説明している。
市文書法制課は「奈良の声」の取材に対し、香芝市では開示請求の件数については2024年度も極端な増加はないとしている。
改正案の審議は2月26日に予定されている総務建設委員会に付託されている。