サシバの幼鳥、無事巣立ち 野鳥写真家の与名さん撮影 奈良県山添村の繁殖地、観察会から3週間
枯れ枝に止まるサシバの幼鳥=2025年7月26日、奈良県山添村、与名正三さん撮影
タカの仲間で環境省レッドリストで絶滅危惧種とされているサシバの繁殖地の一つ、奈良県山添村で7月末、野鳥写真家の与名正三さんが巣立ちした幼鳥を確認、撮影した。同地で一般の人を対象に観察会が行われてから約3週間。与名さんら関係者は幼鳥が無事巣立ちしたことに胸をなで下ろしている。
観察会が行われたのは7月6日。サシバの保護を目的に奈良盆地周辺で生息繁殖状況を調査している奈良猛禽(もうきん)類研究会(橘正勝代表)が主催し、県内を中心に小学生から大人まで約30人が参加した。与名さんは講師を務めた。観察場所では、巣があるとみられる山林の上空を飛ぶサシバの親鳥を見ることができた。
観察会は数が減っているサシバに関心を持ってもらい、保護につなげるのが狙いだが、繁殖地での観察はサシバの子育てに影響を与えないよう細心の注意が必要だという。
空を飛ぶサシバの幼鳥=2025年7月26日、奈良県山添村、与名正三さん撮影
与名さんが幼鳥を撮影したのは7月26日。確認できた範囲では数は1羽で、枯れ枝に止まる姿や空を飛ぶ姿を捉えることができた。与名さんは「観察会では子育てに影響しないよう配慮したが、幼鳥が無事巣立ちし、ホッとしている。今後の観察の参考になる」と述べた。
サシバは海を渡るタカとして知られ、夏の間に本州や九州で繁殖したサシバは、越冬地の鹿児島県の奄美大島やフィリピンに向かって徐々に南下していくという。
与名さんはかつて奈良県生駒市在住だったが、現在は出身地の奄美大島と奈良県平群町の2拠点生活を送りながらサシバの保護活動に取り組んでいる。同島では今年10月、第5回国際サシバサミットが開催される予定で、実行委員会のメンバーでもある与名さんらは次回2028年のサミットについて、山添村での開催を目指している。
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