「眺望の良いレストラン」への転換断念 県庁6階職員食堂の改修 荒井知事、会見で「お金掛かり大変」
奈良県庁6階の職員食堂を改修して、「眺望の良いレストラン」を整備するとした計画について、荒井正吾知事は11月25日の定例記者会見で「方針を変更した。とてもお金が掛かって大変と分かった」と述べ、断念したことを明らかにした。県が1日までにホームページで公開した県政・経済記者クラブ主催の同会見の動画で分かった。
県は2012年、奈良市の奈良公園に隣接する県庁舎の観光拠点化を打ち出し、レストランやコンビニエンスストア、カフェの整備を計画。昨年3月、コンビニが開店した。しかし、同コンビニに対しては、県庁が市街化調整区域にあることから、市などから都市計画法に抵触する恐れがあるとの指摘が出ており、レストラン整備の動向にも関心が集まっていた。
荒井知事は計画の発端について「県庁屋上を開放して以来、職員食堂にたくさんお客さんが来た。県庁の表の方には興福寺、東には若草山が見え、とても良い景観がある。食堂も窓の付け方で、人気が出るのではないかと思った」と述べた。
そのために、食堂キッチンの大幅な移動を検討したが、それには「とてもお金が掛かって大変」と分かったという。また、見晴らしの良い所にテーブルを置くには職場の部屋との関係で制約があったと説明。「構想は大きかったが、段々、収縮した」と述べた。
食事を提供する業者の募集にも手間取ったとした。「職員食堂は採算がなかなかうまくいかないので、応募してくれる人はそう多くない」と説明した。
県は11月18日、プロポーザル方式による募集で決定したエル・スエヒロフードサービス(大阪市、小林正明社長)と食事提供事業について基本協定を締結した。県管財課によると、営業時間は開庁日の平日午前11時から午後2時までの昼食時間帯が基本。アルコール飲料は提供しない。昼食時間帯以外の座席は、職員の打ち合わせなど多目的に使えるオープンスペースにする。
職員食堂は昨年3月まで県職員互助会の運営で営業していた。現在は閉鎖されている。再開は、改修工事などを経て、早ければ17年春ごろの予定という。
県は、県庁舎のレストランやコンビニの整備について、奈良市に対し、職員の福利厚生施設と説明してきたが、コンビニについては、年中無休営業やアルコール飲料の販売が一般客相手ではないかとして、問題になっている。