河合町議員・沖縄視察研修費の返還訴訟 町側、旅行代理店の領収証提出
奈良県河合町議会の議員3人が2014年9月、議会の視察研修費で沖縄県石垣市の津波対策などを視察したことに対し、内陸の町に必要のない支出だったとして、町民が岡井康徳町長を相手取り、町が支出した同研修費30万円を議員3人に返還請求するよう求めた住民訴訟の第2回口頭弁論が8日、奈良地裁(木太伸広裁判長)であった。
町側は、町が航空運賃と宿泊費を支払ったことを示す証拠として、旅行代理店発行の領収証を提出した。原告の高桑次郎さん(75)によると、町に開示請求した際には、視察の事実を証明する領収書などの裏付け証票の添付がなかったといい、裁判では、実施の事実に疑義があると主張していた。
領収証は、町内の旅行代理店の発行で、日付は視察終了後の14年9月30日、あて名は河合町議会。「交通費、現地移動費、宿泊費」の名目で、27万3660円を受領したとの内容になっている。議員3人分の2泊3日の旅費の総額のみの記載で、内訳が分かる情報はなかった。町側はこの日の弁論で、航空運賃が19万3860円、宿泊費が7万9800円と陳述した。
同町議会議員報酬条例によると、議員の公務に伴う宿泊費は、実際に要した費用に関係なく、1夜につき定額の1万3000円(行き先により1万4000円の場合もある)が支給される。町側は、この定額の1万3000円に人数分、宿泊日数分を乗じた額をもって、宿泊費と説明した。一方、航空運賃は実費が支給されるが、額の根拠は示されなかった。
旅費として、ほかに日当3000円が支給されるが、町によると、日当を含め視察研修費の総額は1人当たり年間10万円までとする内規があるといい、3人にはこれを超える分を除いた計30万円が支給されている。
町側は答弁でこのほかに、石垣市を視察先に選んだ理由について「台風災害などの天災が多く、市民の防災意識も高いと評される」と述べ、視察の意義について「諸処で防災対策を施し、防災意識を市民に徹底させている石垣市を視察することは、町民への防災意識の周知徹底や、高齢者や子供を保護する対策を施すことにつながる」と主張した。
訴状などによると、町議会の議長を含む議員3人(いずれも無所属)は防災対策の視察を目的に、14年9月16日から2泊3日で石垣市を訪れた。16日は同市防災危機管理室係長から、市の取り組みについて説明を受けた。17日は電柱の海抜表示や防波堤を視察した。【続報へ】