ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

最新ニュースをメールで受け取る【無料】

浅野善一

受動喫煙問題さまざまな立場から語る 香芝市役所への喫煙所設置反対で市民集会

市役所などへの喫煙所設置反対を掲げて開かれた「喫煙所新設に反対する市民の声」の集会=2022年4月3日、奈良県香芝市藤山1丁目の市ふたかみ文化センター

市役所などへの喫煙所設置反対を掲げて開かれた「喫煙所新設に反対する市民の声」の集会=2022年4月3日、奈良県香芝市藤山1丁目の市ふたかみ文化センター

 奈良県香芝市議会が昨年12月に賛成多数で可決した、屋外分煙施設設置を求める決議を巡って、市役所など市の公共施設敷地内への設置を阻止しようと活動している市民団体「喫煙所新設に反対する市民の声」(曽根秀一代表)が3日、同市藤山1丁目の市ふたかみ文化センターで市民集会を開いた。

 集会開催は2回目で、今回は受動喫煙についてさまざまな立場の人から意見を聞こうと6人の発表者を迎えた。市民約80人が参加した。

 元大阪府保健師でチームヒューマン代表の徳永京子さんは、医学の観点から受動喫煙の怖さについて説明した。衣服に付着した煙からも健康被害があるとし、喫煙所を設置しても受動喫煙防止にならないと語った。

 決議に反対した市議会議員も発表者を務めた。筒井寛議員は「私は喫煙者だが、たばこ税で市役所に喫煙所を設置して納税者に還元してほしいとは思っていない。禁煙教育などに使っていく、それが社会が向かう正しい方向」と述べた。青木恒子議員は「どうして急に分煙施設が出てきたのか。市民から要望があったのか。納得がいかない」と述べた。

 市在住の心理カウンセラー小走幸子さんは、SDGs(持続可能な開発目標)の中にたばこの規制が掲げられていることについて紹介。「日本の受動喫煙防止対策は30年遅れている」と指摘した。

 会場の参加者からも意見や質問を受け付けた。「いち早く市役所の敷地内禁煙を実施した香芝市が誇りだった」「請願書を不採択にして、市民の声を聞き入れない議会はおかしい」「市役所で喫煙所を認めてしまうと、病院や学校にも影響が及びかねない」などの声があった。

 このほか「喫煙所を設置しても県の指導で令和4(2022)年度中に撤去しなければならないと聞いたが本当か」との質問があり、筒井議員は「県のなら健康長寿基本計画は令和4年度の県内市町村庁舎の敷地内禁煙の目標を100%と定めている。強制力はないが強い指導がある」とした上で、現在、市では市役所の屋上に喫煙所を設置する想定で検討が行われており、フェンスや排煙装置で1500万円ぐらい掛かる可能性があると説明した。

 「市民の声」は、5000人を目標に福岡憲宏市長に提出する喫煙所設置反対の署名を集めており、この日までに3000人分が集まったという。

【2022年5月11日追加取材】

 県疾病対策課は、2022年度中に庁舎の敷地内禁煙を達成できたかできなかったかで、市町村が有利になったり不利になったりするようなことは、今のところ検討していないとしている。 関連記事へ

読者の声

comments powered by Disqus