関西広域)治水や自然、ため池のこれからの役割探る 明石まちづくり講座
ため池の清掃活動について語る赤木紘さん(中央奥)=2022年9年17日、兵庫県明石市東仲ノ町の市複合型交流拠点ウィズあかし
「明石のため池 過去、現在、未来を考える」をテーマに「第35回市民まちづくり連続講座 in 明石」(政策提言市民団体「市民自治あかし」主催)が17日、兵庫県明石市東仲ノ町の市複合型交流拠点ウィズあかしで開かれ、30人がため池のこれからの役割について意見交換した。
兵庫県は古来、農業用水確保の目的で造られため池が2万4400個と日本一。農業従事者が減り、維持管理水準の低下が課題となる中、県や市町村は「次代の資産」として保全に向けて住民らと連携する。明石市内にも100を越える池があり、池の保全活動や歴史探訪、野鳥観察などの活動が繰り広げられている。市内の現状について赤木直美さんが報告し、洪水調整や地下水保全、養魚など多面的な役割を紹介した。
市内で一番大きい池は約500年前に築造された野々池(14.5ヘクタール)。1974年に水道水源となり、4年後の渇水時に断水の危機を回避する任務を果たし、「命の綱」として再評価されたという。同市大久保町の大池などに飛来するコウノトリの確認数も増えてきた。「ため池はあくまで人工物。絶えず人間が手を入れて守ることが大事」と力を込めた。
次いで池の清掃活動をしている赤木紘さんが発表。「守る、生かす、つなぐ」を合い言葉に、クリーンキャンペーンに励んできたことを紹介し、防災意識を育む意義についても語った。
ソーラー設置に意見も
明石市議会議員で「播磨の里山とため池に1枚もソーラーパネルをはらせない会」の丸谷聡子さんも発言。この7年間、地域で何度もため池にソーラーパネルを設置する計画が浮上したといい、その都度、住民らとメリット、デメリットを語り合ってきた経験を持ち、「必死で止めてきた」と述べた。
地域住民とため池の管理者らが共同で行っている水抜き、泥さらいの作業=兵庫県明石市内、県庁ホームページから
会場からは、ため池に太陽光パネルが設置されると、循環する水の道に影響はないのかとの疑問の声や、「かいぼり」と呼ばれる伝統の冬期水抜き、泥さらいにより池を保持する作業に支障が生じるとの意見が出た。
主催団体の代表、ジャーナリストの松本誠さんは近年の異常気象を踏まえ、「ため池は、ダムの機能と共通する。多雨シーズンの前にあらかじめ池の水を抜いておく事前放流によって、洪水対策の機能が期待される。池の防災機能はますます重要となり、市民との新しい関係づくりが期待される」と話した。