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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

「水道一体化の判断材料にはならない」 10年前の奈良県試算「浄水場存続が有利」 生駒市議会都市建設委で市

生駒市議会都市建設委員会の様子を映す傍聴室のモニター=2023年3月13日、同市役所

生駒市議会都市建設委員会の様子を映す傍聴室のモニター=2023年3月13日、同市役所

 奈良県が2013年度に生駒市など県内8市町村の水道事業について、県営水道からの受水量を増やすより、浄水場を残して更新する方が水道料金面で有利と試算していたことが「奈良の声」の報道で明らかになったが、3月13日の生駒市議会都市建設委員会(沢田かおる委員長、5人)での県域水道一体化への参加に関連する議案の質疑で、この試算が取り上げられた。

 市は「水道水の製造単価だけを比較したもので、今の一体化の判断材料にはならない」との考えを示した。

 試算の結果は「市町村水道事業の処方箋」にまとめられている。県は2013年度、国の人口推計などを基に23市町村(奈良市を除く)の2030年までの水道料金のシミュレーションを行った。

 同委員会では県広域水道企業団設立準備協議会の設置議案の質疑が行われた。山下一哉委員(公明)がこの試算を取り上げ、「当時の背景や市の考えを市民も聞きたいと思っている」として市に説明を求めた。

 岸田靖司上下水道部長は「平成24(2012)年の県営水道に関する包括外部監査で、県営水道の稼働率や水需要の見込みについて指摘事項や検討事項があり、県には県営水道をたくさん使ってほしいという思いがあった。結果として同25年に単価の値下げが行われた。値下げに当たって各市町村の給水原価、自己水の製造原価を検討した試算だと思う」と説明。「生駒市では今も自己水の方が製造単価が安い」とした。

 その上で岸田部長は試算について「給水の原価が違うということを言っているだけで、将来の更新費用のデータは入っていない。今の一体化のシミュレーションでは国や県の補助金もあり、根本的に成り立ちが違う。判断の材料にするようなものではない」と述べた。

 同委員会はこの日、企業団設立準備協議会の設置議案を全会一致で可決した。同議案の本会議での採決は定例会最終日の3月24日に行われる。 関連記事へ

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