ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

ニュース「奈良の声」が受賞 ジャーナリズムXアワード

最新ニュースをメールで受け取る【無料】

浅野善一

企業団設立準備協議会設置議案を可決 水道一体化で奈良県生駒市議会 不確定要素や市民の理解論点に

採決の結果が表示された議場の電光掲示板(左上)=2023年3月24日、生駒市役所

採決の結果が表示された議場の電光掲示板(左上)=2023年3月24日、生駒市役所

 奈良県生駒市議会は定例会最終日の3月24日、県広域水道企業団設立準備協議会への参加を承認する議案を賛成多数で可決した。同市は地下水を利用した自己水源を持ち、県域水道一体化を巡っては、他市町村に先駆けて市民説明会を開くなどしてきた。採決では基本計画案の不確定要素や市民の理解が論点になった。

 可決された議案は「県広域水道企業団設立準備協議会の設置に関する協議について」。採決の結果は賛成15人、反対6人だった。採決に先立って行われた討論では、1人が賛成の立場から、5人が反対の立場から意見を述べた。

 賛成の立場で討論した梶井憲子議員(緑生)は、単独経営を続けるより一体化に参加した方が安い水道料金や早い管路更新が期待できるとし、また企業団の基本計画案で市の浄水場の一つが存続し、自己水が確保されることになったことも挙げて、「3分の2を県水に頼っている市にとって一体化に参加するメリットは大きい」と訴えた。

 一方で、市から市民への説明について「全ての市民に正しく理解されているとは言い難い」と指摘。また「企業団の組織構成や職員の待遇、処遇などはまだ何もまだ決まっていない」と述べ、不確定な部分について協議会での確実丁寧な協議も求めた。

 反対の立場で討論した塩見牧子議員(無会派)は「コスト論からは反対する理由はない」とした上で「生命の源で生活に欠かせない水のインフラを効率性だけで考えることはできない」と主張。意思決定プロセスについて不確定要素が少なくないとし、「基本計画案では少数派自治体の住民意思が尊重されるルールが担保されていない」と述べた。

 また浜田佳資議員(共産)は、料金設定や管路更新などで決定権を失うとしたほか、自己水が減って県水が増える広域水道では「災害時のリスクが大きくなる」と訴え、災害で県水が止まったときの影響などを問題にした。このほかの反対議員からは「議会が適正、適切な判断をする材料が整っていない」「時期尚早」「市の水道の利益が赤字団体の補填(ほてん)に回される」などの意見があった。

 企業団設立準備協議会の発足は4月の予定。

読者の声