南和広域ごみ処理施設跡地の売却可決 随意契約で地元企業に 奈良県大淀町議会常任委 「特定の譲渡先ありき」納得しない議員も
大淀町役場=2024年3月4日、同町桧垣本
南和広域衛生組合(管理者・辻本眞宏奈良県大淀町長)の操業を終えた同町芦原のごみ処理施設「南和広域美化センター」跡地について、敷地を所有する同町が随意契約で地元企業に売却する議案が、3月4日の町議会総務建設産業委員会(長谷川力雄委員長、6人)で賛成多数で可決された。
一方で公有地の売却は通常、一般競争入札が原則のため、跡地の利用が特定の企業への売却を前提に進められていることを問題視する議員は納得しなかった。町は19日の本会議での採決で議案の成立を目指す。
議案は1日に開会した定例会に提出され、同委員会に審議が付託されていた。町の議案説明によると、町は組合から焼却炉棟を除く管理棟、リサイクル棟、車庫・倉庫棟の3施設を無償で譲り受け、敷地約1万6000平方メートルと合わせて随意契約で同町芦原の徳本砕石工業に譲渡する。建物は無償、土地は約6905万円で売却する。
同社は建物を会社の事務所などに使用するとしていることから、組合を構成する町村が負担することになる施設解体費用の削減を図れるとした。焼却炉棟は組合が解体する。敷地は町が組合に賃貸していた。
議案は文教厚生委員会にも関わるとして、審議は両委員会の連合で行われた。議会の全議員12人が審議に参加する形になった。
随意契約による同社への跡地売却を巡っては、管理棟が立っている土地の一部が民有地で、この民有地が昨年1月、元の所有者から同社に転売されたことが議論になっている。こうした点を問題視している議員は、組合が転売を承諾したことや転売に関し議会に説明がなかったことについて「特定の譲渡先ありき」「議会軽視」などと批判した。
これに対し辻本町長は、同社に跡地を利用させることを条件に地元芦原区が組合の建物撤去義務を免除した経緯を挙げて、ほかに選択肢がなかったことを強調、また議会への説明については「交渉ごとについてどのタイミングで報告するのが良いのかなかなか難しい」と述べた。
採決は総務建設産業委員会の委員のみで行われた。採決に参加しない委員長を除く5人のうち3人が賛成、2人が反対した。 関連記事へ