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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

南和広域ごみ処理施設跡地、地元企業への売却可決 奈良県大淀町議会 随意契約の是非で議論も

地元企業への売却が決まった南和広域美化センターの土地と建物=2023年5月、奈良県大淀町芦原

地元企業への売却が決まった南和広域美化センターの土地と建物=2023年5月、奈良県大淀町芦原

 奈良県吉野郡の4町村でつくる南和広域衛生組合(管理者・辻本眞宏大淀町長)の操業を終えた同町芦原のごみ処理施設「南和広域美化センター」跡地について、敷地を所有する大淀町が組合から建物の譲与を受け、土地と合わせて地元企業に随意契約で売却するための2議案が、3月19日の同町議会定例会本会議で賛成多数で可決された。

 地方自治法上、公有地は一般競争入札による売却が原則で、随意契約は競争入札に適さないものなどに限られる。このため特定の企業に売却することに対しては、町と議会の間で是非を巡って議論が戦わされてきた。

 可決されたのは、センター施設のうち焼却炉棟を除く管理棟、リサイクル棟、車庫・倉庫棟の3施設を、町が組合から無償で譲り受ける契約の承認を求める議案と、町が所有する施設敷地約1万6000平方メートルをこれら建物と合わせて同町芦原の徳本砕石工業に随意契約で売却する契約の承認を求める議案。建物は無償で譲渡し、土地は不動産鑑定価格に基づいて約6905万円で売却する。

 採決では、いずれの議案も議長を除く出席議員9人のうち7人が賛成、2人が反対した。いずれの契約もこの日の議決を受けて効力が発生する。一方、組合は譲与対象外のセンター施設の解体撤去工事計画の策定などに着手する。焼却炉の解体撤去工事完了は2026年7月ごろの見通し。

 徳本砕石工業への跡地売却を巡っては昨年3月、町、組合、地元自治会の芦原区、同社の4者が跡地利用についてそれぞれの役割や譲渡の条件を定めた基本合意書を交わしていた。町は随意契約を選択した理由について、同社がセンター施設の建物を会社の事務所などに使用するとしていることから、組合を構成する町村が負担することになる施設解体費用の削減を図れるとしてきた。

 センター操業終了後の建物ついては、組合と芦原区との取り決めで組合がすべて撤去することになっていた。同区は組合に対し、同社に跡地を利用させることを条件に焼却炉を除く建物の撤去義務を免除した。

 これに対し、随意契約を問題視する議員は、管理棟が立っている土地の一部が民有地で、この民有地が昨年1月、元の所有者から同社に転売された点などを挙げ、組合が転売を承諾したことや転売に関し議会に説明がなかったことについて「特定の譲渡先ありき」「議会軽視」などと批判してきた。

 同センターは1993年に操業を開始、昨年9月に操業を終えていた。後継の施設としては、大淀町など6町村で設立された「さくら広域環境衛生組合」の「さくら美化センター」(同町西増)が昨年10月に操業を開始している。

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