関西広域)東大阪市の水道料金28%値上げ案、議会建設水道委が否決
大阪府東大阪市役所=2024年3月、同市荒本北1丁目、浅野詠子撮影
2025年度から28年度までに水道料金を通算で28%引き上げる大阪府東大阪市の市水道事業給水条例の改正案が市議会12月定例会に上程され、審議を付託されていた建設水道委員会(嶋倉久美子委員長、7人)は12月19日、賛成少数で否決した。本会議の採決は23日。
市議会は今年3月の定例会で、同市を含む周辺6市が大阪広域水道企業団(一部事務組合、用水供給事業、14市町村水道事業)と経営統合する議案を賛成少数で否決。その後、市は単独経営の料金改定の在り方を市上下水道事業経営審議会(会長、笠原伸介・大阪工業大学教授)に諮問していた。
市の水道料金値上げ案は2025年度に19%、さらに28年度に8%引き上げる。今定例会代表質問では自民など主要の4会派が取り上げた。
長岡嘉一委員(共産)は「容認できない」と反対。広域水道企業団との統合協議では、初年度の2025年度は13%の値上げが予定されていたとし、統合協議中の財政試算と、市の今回の試算の大きな開きを問題視した。
市水道総務部長は「給水人口は今後さらに減少し、基幹管路の更新などに多額の工費が必要になる。2025年度の収支は赤字になる見通し。物価上昇や危機管理対応などの要素を新たに精査し、2035年度までのシミュレーションをした」と答弁した。
建設水道委員会では、十鳥雅雄委員(公明)の質問により、市が値上げを急ぐ背景の中には、単独経営の自治体に対し、国が交付を検討中の補助金の獲得要件の一つとして製造コストと料金の割合を示す料金回収率100%以上を条件とする方向と関係していることも分かった。
「奈良の声」の取材に対し、市水道経営室企画課は「水道の官庁が厚生労働省から国土交通省に変わり、単独経営の自治体に対しても施設整備などに国庫補助金を拡充する検討がなされている」と話した。
国交省が創設した上下水道一体の基盤強化補助金は、単独経営に有利な一面があるとみられる。
野田義和市長は開会中の本会議で「広域水道企業団との統合は、経営シミュレーションの疑念や資金残高の引き下げなどを懸念する議会の指摘を重く受け止め、私の任期中は論議はしない」と述べた。
東大阪市の水道料金は府内43市町村中10番目に安い。大阪広域水道企業団(水源・淀川)の浄水を受水している。