関西広域)東大阪市が撤回、広域水道企業団と7市の統合議案 和泉市議会否決受け 計画振り出しに
統合関連の議案を撤回する野田市長=2023年3月28日、大阪府東大阪市議会
大阪府東大阪市の野田義和市長は3月28日、市議会3月定例会に提案していた大阪広域水道企業団(用水供給事業者)と同市を含む7市の水道事業の経営統合に向けた規約変更などの関係議案を撤回した。統合の枠組みにあった和泉市で24日、同議案が否決され、統合そのものが成立しなくなっていた。統合計画は振り出しに戻った。
府営水道を引き継いだ同企業団は、大阪市を除く府内42市町村で構成される一部事務組合。府が策定した府水道整備基本構想に基づき、府域一水道を目指している。奈良県のように一度に一体化を目指すのではなく、協議の整った市町村をブロック単位で順次統合しており、これまでに3つのブロックの藤井寺市など計13市町村の水道事業が統合された。将来は料金統一を目指す。
今回の7市による経営統合計画では八尾市、岸和田市など6市は関係議案を可決。東大阪市議会建設水道委員会も今月24日の委員会では賛成多数で可決していた。採決に先立つ22日の同委員会市長総括質疑で野田市長は「統合すれば、将来にわたり持続可能な運営が期待でき、多くのメリットを見いだせる」と参加への意欲を示していた。
建設水道委員会では、賛成した委員から「料金改定など重要な事項を企業団が決定する前に公聴会のような仕組みで調整する場が大事」などの要望があり、反対した委員からは「議会で議論ができなくなり、物価高騰の折から統合後の料金試算より値上げになるのでは」などの懸念が示されていた。
統合に向けた覚書締結は2022年1月。同委員会では、大阪市や堺市などの大都市で参加の態度が決まらない中、締結した8市(のちに大東市が離脱し7市に)のうち給水人口が最大の東大阪市の参加は「府域一水道への推進力になる」と期待する意見もあった。一方、統合予定団体との施設の統廃合などが未確定な中で、公表された効果額の算定の在り方についても再検討の余地があったとみられる。
統合関連議案が取り下げられたことで東大阪市上下水道局水道経営室企画課は「残る6市と大阪広域水道企業団の間で統合をどう進めていくか協議することになる」と話した。 関連記事へ