関西広域)水道料金、値上げ19%に抑えた修正案可決 統合不参加の東大阪市の議会
水道料金の値上げを縮減する修正案を賛成多数で可決した大阪府東大阪市議会=2024年12月23日、同市荒本北1丁目の市役所、浅野詠子撮影
大阪府東大阪市議会は12月23日の定例会最終日、2025年度から28年度までに水道料金を通算で28%引き上げる同市道事業給水条例の改正案に対し、値上げを19%に縮減する自民、公明など5会派による修正案を賛成多数で可決した。
市の水道事業を巡っては、市議会は今年3月、同市など6市の水道統合と、その受け皿となる大阪広域水道企業団(一部事務組合、用水供給事業、14市町村水道事業)との経営統合関連議案に対し、経営シミュレーションへの疑念や災害時の緊急対応への不安などを理由に賛成少数で否決していた。
これを受けて市は単独経営を前提とした水道事業の在り方を検討。統合協議中に示された統合初年度(2025年度)の料金値上げは13%。しかし、物価上昇率の影響をはじめ、市域の水道組織の在り方、危機管理対応などが十分に検討されておらず、市は今後に想定される不確定要素を整理。市上下水道事業経営審議会での答申を踏まえ、水道料金を2025年10月に19%、2028年4月に8%、通算で28%引き上げる案をこの定例会に提出した。
修正動議を出した十鳥雅雄議員(公明)は「2025年10月から19%値上げの料金改訂は、現時点での水道の財政状況、水道耐震化促進に向けた国庫補助金のための財源確保などから緊急性があり、先の建設水道委員会(原案否決)で一定の理解があった。しかし2028年4月の8%値上げについては、国が水道耐震化促進のための補助率を引き上げる動きもあることから、今後の補助制度の確実な確保と水道局自らの企業努力をもってさらなる獲得に努め、改めて算定すべきで、市民負担を今から早急に確定すべきでない」と趣旨説明した。
野田義和市長の与党会派、維新は原案賛成の立場から修正案に反対。高橋正子議員は「わが会派の主張は府域一水道による広域化。先の代表質問では、企業団統合によって2段階目の8%の値上げを避ける可能性もあるのかと問い、水道事業管理者は、将来の料金抑制について、その可能性を否定しなかった。2段階目の値上げを抑制する努力を前提に水道経営を安定させる原案に賛成する」と述べた。
共産、れいわは市民生活への影響を考慮し、住民への説明が不十分である懸念などから修正案に反対した。
伊藤勇樹議員(れいわ)は「市議会の否決により大阪広域水道企業団への統合がされず本当に良かったと改めて思う。今こうして本市の水道料金について議論できるのは、統合されていないからだ。もし統合していれば、そもそも水道料金についてわれわれで議論することはかなわない。高い安いという前に水道自治権を保持していることが肝心で、未来永劫(えいごう)守り、手放すことがあってはならない」と意見を述べた。