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第1回「奈良の声」読者会の報告

浅野善一

奈良県橿原文化会館閉館の方針、見直す考え「ない」 知事、存続求める5万2000人署名に

定例会見で奈良県橿原文化会館閉館の方針を見直す考えは「ない」と述べた山下真知事=2025年11月11日、県庁、ユーチューブ「県公式総合チャンネル」のライブ配信から

定例会見で奈良県橿原文化会館閉館の方針を見直す考えは「ない」と述べた山下真知事=2025年11月11日、県庁、ユーチューブ「県公式総合チャンネル」のライブ配信から

 山下真奈良県知事が県橿原文化会館(橿原市)の閉館・解体方針を示していることに対し、存続を求める県内の吹奏楽や合唱、観劇の団体が県民らに呼び掛けて知事に提出した署名は約5万2000人となったが、知事は11月11日の定例会見で方針を見直す考えは「ない」と明言した。県が同じ橿原市内に建設する県立アリーナ(屋内競技場)など県内のほかの公共ホールを利用してほしいと、従来の説明を繰り返した。

 県吹奏楽連盟や橿原市合唱協会でつくる「橿原文化会館存続を求める会」(福島秀行会長)は11月6日、約3万5000人分の署名と要望書を知事に宛てて提出した。奈良演劇鑑賞会(宮崎きよ子代表)も同席し別に7000人分の署名を提出した。演劇鑑賞会が今年2月に提出済みの分を合わせると署名の総数は約5万2000人となった。

 山下知事は会見で署名が提出されたことをどのように受け止めているかを問われ答えた。知事は「存続を求める意見があることは承知しているが、5000席を要するアリーナができるので基本的にはそこを使っていただくか、南部で言えば大和高田市のさざんかホール、北部で言えば県文化会館や大和郡山市のやまと郡山城ホールを使っていただきたい」と述べ、同会館閉館の方針を見直す考えは「ない」とした。

 「存続を求める会」は、全国で1500席規模のコンサートホールがないのは奈良県だけで、橿原文化会館を閉館すれば、生演奏の鑑賞に堪える音響性能と1300席という県内最大規模の客席数を有するホールを失うことになると訴えている。この点について知事は「昨今の(同会館の)利用状況を見ると、クラシック音楽や演劇で大ホールが満席になったのは年に10数回程度と聞いている。必ずしも1500席なければならないものではない」と述べた。

 知事が代わる施設として挙げるアリーナについては、「存続を求める会」の福島会長は要望書提出後の記者会見で「音響拡声装置を使った(アリーナでの)歌手やロックバンドの公演と生の音でないとできない吹奏楽や合唱の公演は全く別物」と反論している。

筆者情報

奈良県橿原文化会館の存続求める署名5万2000人に 「南部の芸術文化の拠点残して」 吹奏楽、合唱、観劇の団体が知事に要望書

奈良県橿原文化会館の存続を求める要望書と署名簿を提出する福島秀行会長(右から2人目)=2025年11月6日、奈良県庁、浅野善一撮影

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