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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

大渕池公園の移管、2017年県が奈良市に打診 西奈良県民センター跡地含め 市、一時検討も「財政的に維持管理困難」と断る

県立大渕池公園西地区=2021年3月18日、奈良市大渕町

県立大渕池公園西地区=2021年3月18日、奈良市大渕町

西奈良県民センター跡地利用

 奈良市の西奈良県民センター跡地を巡り、県の売却方針に対し住民が中止を求めている問題で、同センター廃止後の2017年、県が奈良市に対し、跡地を含む県立大渕池公園全体の市への移管を打診していたことが分かった。市は一時検討したが、最終的に「維持管理が財政的に困難」として断った。「奈良の声」が県情報公開条例に基づいて開示請求した文書から判明した。

 県が開示したのは、ファシリティマネジメント推進本部の会議資料のうち、西奈良県民センター跡地の活用について検討した資料。

 2019年6月17日の会議の資料では、跡地活用の主要な案として「大渕池公園と併せて奈良市に移管」が示され、その課題として「市との協議を進める必要がある」と述べている。

 次の2020年3月24日の会議の資料では、「大渕池公園全体の奈良市への移管を打診したが、進まず(維持管理が財政的に困難)」と報告があり、これを踏まえて「大渕池公園と切り離して活用を検討」との方針案が示されている。

 同資料を踏まえて、県と市それぞれの関係課に取材した。

 県公園緑地課によると、県が市に移管を打診したのは2017年8月28日。市公園緑地課に対し「公園は市が管理することが望ましい」と伝えたという。市側の返答は「市の財政状況は厳しく、維持管理は困難。移管されたとして、維持管理について県から補助は受けられるのか。市の上層部に相談する」というものだった。

 一方、市公園緑地課によると、県からの打診を受けて、市は対応を協議、移管を受ける方向で検討を進めることになったという。同課では、移管を受けるに当たって考えられる問題点を、県に報告するため、現地を確認したり、県から公園図面を取り寄せたりした。しかし、その後、市として公園の維持管理は財政的に困難との考え方が強まり、2019年春ごろ、同課課長が県公園緑地課に対し、口頭で引き取りは困難と伝えたという。

 大渕池公園の維持管理費用は、県と公園の指定管理者との契約額で見ると、2018年度から2022年度までの5年間で1億3194万円。

 大渕池公園は広さ23万5000平方メートル。ため池の大渕池を挟んで東地区と西地区があり、樹林地の中に広場や体育館、テニスコートなどが設けられている。西奈良県民センター跡地は公園としての供用開始はされていないが、都市計画公園「県立大渕池公園」の計画区域には含まれている。

 同センターは2016年3月に廃止され、2019年3月に建物の撤去が完了した。県が売却を予定しているのは、センター敷地5987平方メートルのうち、センター建物が立っていた南側の土地2831平方メートル。残り半分の土地には併設の運動場と児童公園があり、センター閉館後、大渕池公園の一部として供用が開始された。

 跡地の活用を巡っては、公園全体の移管の話が立ち消えになった後、県は2020年7月、公園から切り離して、奈良市に活用意向を照会したが、活用しないとの返事だったため、売却方針を決定した。

 現在、県営公園は10カ所あるが、大渕池公園の奈良市への移管を考えた理由について、県公園緑地課は「利用が地元に限られているため」とした。ほかの県営公園は奈良公園や平城宮跡歴史公園、馬見丘陵公園など。 続報へ

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