県都計審、大渕池公園の計画区域変更案を可決 西奈良県民センター跡地の除外承認 売却方針に沿う判断
奈良県立大渕池公園の計画区域変更案を審議した県都市計画審議会=2022年11月22日、奈良市の県コンベンションセンター
奈良市意見「センター跡地の公園機能残して」反映されず
奈良県都市計画審議会(会長・塚口博司立命館大学名誉教授、24人)が11月22日、奈良市の県コンベンションセンターで開かれ、同市登美ケ丘2丁目の西奈良県民センター跡地(県有地)の行方にも関わる、県立大渕池公園の都市計画決定区域の変更案が賛成多数で承認された。
変更案は、同公園の都市計画決定区域から、公園としての整備に至っていない区域を除外するもので、西奈良県民センター跡地は対象の一つ。県は売却方針を決定しており、これに沿う判断となった。跡地を巡っては、公園としての活用を望む住民の声があり、奈良市も跡地について「公園機能を残してほしい」という意見書を提出していたが反映されなかった。
県は変更案の承認を受けて、近く、同公園の都市計画変更決定を告示、対象地の建築制限が解除される。県ファシリティマネジメント室は西奈良県民センター跡地について、公園の都市計画決定区域からの除外が完了するまでは売却しないとしていた。都市計画変更決定の告示を受けて、一般競争入札による売却へと手続きが進められる見込み。
この日、審議会に諮られた変更案は、1972年に大渕池とその周辺の樹林地を活用した総合公園として、都市計画決定された24万6000平方メートルのうち、整備・活用が困難で供用に至っていない約1万1000平方メートルを公園の都市計画決定区域から除外するもの。除外対象区域のうち約8000平方メートルは民有地で、残る約3000平方メートルが西奈良県民センター跡地。
県公園緑地課は、近年の人口減少などの社会情勢を踏まえると、現在の供用区域約23万5000平方メートルをもって当初の都市計画の目的を果たしているとする。
県が今年6月に開いた地元説明会や公聴会で出た意見、8月末から9月初めにかけて実施した変更案の縦覧期間中に受け付けた意見書の大半が、防災や住民交流などのために公園としての整備を望むというものだった。
奈良市が変更案に対する意見聴取のため10月24日に開いた、奈良国際文化観光都市建設審議会の結果を受けて提出した意見書も、跡地の公園機能を残してほしいという意見を十分に尊重した都市計画の変更を求める内容だった。
審議会ではこうした意見に対する県の考え方が示された。県公園緑地課は「現在の供用区域をもって目的は達成している」などと説明し、駐車場不足などの課題についても現在の供用区域の中で解決を図っていくとした。
委員からは、賛成意見の一方で、「住民対象の説明会が開かれていない」と住民への説明不足を指摘する意見や、3000人の売却反対署名に言及しながら「住民と向き合って進めてきたのか」と問う意見、「将来像を踏まえた長期的な視点で目的を達成できるのか」と確認する発言のほか、「景観的に優れた場所を売ってしまうと分筆されて、公共性の高い土地を二度と集約できなくなる」との懸念を示して、この日の採決を見送るよう求める意見もあった。
採決では会長を除く出席者21人中18人が県の変更案に賛成。反対は3人だった。
売却中止を求めて活動してきた「西奈良県民センター跡地利用を考える会」(川島信彦世話人代表)の5人が審議会を傍聴。会員は「跡地は地域にとって重要な土地。計画区域の変更は売却が目的なのに県ははっきり言わず、議論から抜けていたのはおかしい」などと不満を示した。 関連記事へ