県行政書士会長選、無効確認の請求却下 奈良地裁支部判決 任期終了で「訴えの利益消滅」 メールでの告示連絡、是非巡り

奈良地裁葛城支部=2026年2月1日、大和高田市大中、浅野善一撮影
奈良県行政書士会(稲本太一会長)の2023年5月の会長選挙を巡り、同会が告示連絡を電子メールで行ったことに対し、会員の全てに伝わっておらず立候補の機会を奪われたとして、会員の1人が同会を相手取り、選挙の無効確認と損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが1月16日、奈良地裁葛城支部であった。西田政博裁判官は請求を却下した。
会の選挙規則には「違反」と判断
西田裁判官は却下の理由について、同選挙で当選した黒田敬子氏の会長の任期が2025年5月で終了したことを挙げて「選挙の無効確認の利益は消滅したと言わざるを得ず、訴えは不適法」とした。一方で、告示連絡を紙媒体でなくメールマガジンで行ったことについては、同会の会長選挙規則に「違反」との判断を示した。
原告の会員は却下を不服として、大阪高裁に控訴の手続きをした。
判決によると、同会は従前、紙媒体を送付して会員への情報提供を行っていたが、2018年、ペーパーレス化の取り組みによりメールマガジン形式に切り替えた。引き続き紙媒体を希望する会員には有料で対応した。
メールマガジンを受信するにはメールアドレスの登録が必要で、原告は手続きのため会員ページにログインしようとしたができなかった。「同会事務局の指示で何度もパスワードを入力した」がログインできず、「時間をかけてする間もないので放置したまま」になったという。
この切り替えに伴い、2年ごとに行われる会長選挙の2021年度と2023年度の告示連絡はメールマガジンで行われた。
原告は、2023年5月の会長選挙について「有効なメールアドレスを登録していなかったため、立候補日など具体的な情報を受け取ることができず、立候補の機会を奪われた」とし、選挙の無効確認と330万円の損害賠償を求めて提訴した。同選挙では黒田氏が無投票で当選した。
会長選挙規則は告示について、会の事務局(奈良市)に掲示するとともに「同一の内容を記載した文書を告示の7日前までに会員に送付しなければならない」としており、原告は、同会が「文書」の「送付」を紙媒体でなくメールで行ったことについて「規則に違反する瑕疵(かし)がある」と主張した。
西田裁判官は原告の訴えを「不適法」として却下する一方、仮に適法とした場合についても検討したが、「原告が立候補の機会を奪われたと断ずるには疑問がある」と述べ、損害賠償請求は理由がないとの判断を示した。
その理由について、同様の告示方法で行われた2021年度の選挙で、原告を含む会員は異議を述べていなかったなどとし、告示連絡をメールマガジンで行うことについては「黙示的に承諾していたと認められる」とした。
また、立候補を考えたとする2023年度の選挙について原告は、同会に「選挙がどうなっているのかなどの問い合わせすらしなかった」として、「立候補をどこまで真剣に考えていたかは疑問と言わざるを得ない」と指摘。メールが選挙の規定に違反するとしても、(その)瑕疵が「重大で、かつ選挙の結果に異動を及ぼす恐れがあると断ずることはできない」と結論付けた。
原告の会員は判決について「告示の欠如(全会員に伝わっていなかったこと)は選挙の根幹に関わる手続き違反で、選挙権の実質的剥奪。告示があったことが伝わっていないのに、異議がなかったから黙示的に承諾されていたとする理屈は論理的に成り立たない」などと批判した。
「奈良の声」は県行政書士会に対し、判決への見解を尋ねているが、2月2日夕の時点で連絡はない。
筆者情報
- 浅野善一
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