奈良県安堵町、県補助金返還で加算金含め386万円を計上 補正予算案を臨時議会が可決
奈良県安堵町議会臨時会で県補助金返還に向け補正予算を提案する西本安博町長=2024年11月1日、同町役場、浅野善一撮影
奈良県安堵町が町同和地区産業廃棄物処理組合への補助金交付を巡り、町が県に報告した廃棄物の処理量が推測だったことから、県から県費分の返還を命じられた問題で、町は11月1日の町議会臨時会に、返還金221万5000円に利息分となる加算金165万円を合わせた386万5000円を一般会計に追加する補正予算案を提出。議会は全会一致で可決した。
町が返還を命じられているのは県が2014~2020年度に交付した県産業廃棄物処理事業県費補助金交付要綱に基づく補助金(2020年度分は一部)。町が組合に2020年度に交付した補助金の一部が住民訴訟の判決で違法な支出とされたことから、県はそれ以前の県費分についても町に実態の確認を求めていた。
町総合政策課長は補正予算案の提案説明で県の補助金が取り消しになった理由について「(組合が)排出していた産業廃棄物の処理量の(当時の)実績報告について根拠を示せなかった」などと述べた。説明の中に、県に報告した処理量が町の担当者の推測であったことへの言及はなかった。
質疑で上林勝美議員(共産)は「しっかり実態解明をお願いしたい」などと述べて町の考え方をただした。松田勝議員(無所属)は「今回の事件については非常に遺憾。再度発生させないための取り組みが重要。管理体制をどのようにしていくのか」などとただした。
これに対し、西本安博町長は「補助金を伴った事業を行う場合には、現場の確認などかなり精密にやっているつもり。(質問は)担当者任せでなく、上に立つ者はシビアにやっていくべきとの指摘だと思うが、今後さらにその精密は上げていきたい」などと理解を求めた。
西本町長は閉会後、「奈良の声」の取材に応じた。問題の原因はどこにあったと考えるかについては「職員の従来通りしておけばいいのではないかという事務処理が大きな問題だったと思う」と述べた。問題の実態解明や責任の所在については「頭の中には入れているが、何からどうしてという手掛かりがないので実務的には困難かなとも思う。県から交付されたお金を返すことで一定の整理はできた」とした。
県に報告した廃棄物の処理量が推測だったという点については、町住民生活部長は「奈良の声」の取材に対し、担当してきた職員に確認したとした。職員の1人は「推測した数字を入れた」とし、もう1人の職員は「前年度と同じ数字を入れるよう前任者から引き継いだ」と話したという。組合から町に処理量の実績報告はなかったという。こうしたことが慣例になっていた。