県市町村総合事務組合、情報公開条例を議会に提案へ
奈良県内29市町村などの退職手当支給事務を行っている県市町村総合事務組合(管理者、更谷慈禧・十津川村長)が24日の本年度第1回組合議会定例会で情報公開条例を提案することが、同組合への取材で22日分かった。
同組合をめぐっては、退職手当基金の運用で、高リスクが指摘されている仕組債を購入し、20億円の損失を出していた問題が2012年、明らかになった。しかし、組合は当時、取材者などに対し、情報公開制度がないことを理由に、基金運用に関する情報の開示を拒んだ。組合構成市町村の住民が損失の事実を確かめようとしても、条例の未制定が障害になった。
同組合のような一部事務組合や、広域行政の推進が目的の広域連合は、都道府県や市町村などの普通地方公共団体が事務の一部を共同処理するために設けるもので、特別地方公共団体と呼ばれる。県内には現在、退職手当支給事務のほか、消防やごみ処理を共同で行う一部事務組合など28団体がある。
一部事務組合や広域連合は、市町村などの負担金で運営される地方公共団体の一つでありながら、情報公開制度の整備の遅れが課題となっている。「奈良の声」による12年3月の調査では、県内33団体(当時)の条例制定率は3割にとどまった。未制定だった県市町村総合事務組合は当時、取材に対し、「他組合の制定状況の把握を行っているところ」と述べていた。
県市町村総合事務組合の条例提案に当たっては、開示請求権をどの範囲の人々まで認めるのか、また、条例制定以前の作成文書を開示の対象とするのかなどが、注目される。県内市町村の条例では、請求権を認める範囲を「何人も」とする例がある一方で、原則として住民に限っている例もある。また、条例制定以前の作成文書については、開示対象としなかった例もある。
定例会は橿原市大久保町の県市町村会館で午後2時30分から開かれる。傍聴もできる。