市役所敷地内に喫煙所「つくるべきでない」　香芝市長が反対市民学習会にビデオメッセージ

　市役所などの公共施設で敷地内禁煙を実施している奈良県香芝市で、市議会が市に対し「屋外分煙施設」の整備を求める決議をしたことを巡り、福岡憲宏市長は31日、「喫煙所新設に反対する市民の声」（曽根秀一代表）が市内で開いた学習会に寄せたビデオメッセージで、「市役所内に喫煙所をつくるべきではない」との考えを表明した。ただ、設置するかしないかの判断は示さなかった。

　学習会は、「市民の声」が5月31日の世界禁煙デーに合わせ、市民講座「世界は禁煙へと向かっている」として、同市藤山1丁目の市ふたかみ文化センターで開いた。市民ら約50人が参加した。チームヒューマン代表で保健師の徳永京子さんが「世界の禁煙・分煙の取り組み状況」と題して講演、日本の取り組みが世界の先進地に比べ遅れていることや、喫煙、受動喫煙がもたらす健康への影響が多岐にわたることなどについて紹介した。

　市長のビデオメッセージは「市民の声」の依頼で寄せられたもので、同講演の後、公開された。長さは4分32秒あった。

　福岡市長はメッセージの中で、「市民の声」が5月6日に3608人の署名を添えて提出した、公共施設敷地内に喫煙所を設置しないよう求める要望書について、「大きな重みを感じている」と述べ、2018年、自身が市議の時代に市受動喫煙防止条例を発議し、全議員の賛成で可決され、同時に市役所の敷地内禁煙が実施されたことなどに触れた。

　その上で、「私は要望書の意見と同じで、市役所内に喫煙所をつくるべきではないと考えている」と明言した。一方で、「議会の決議は重く、何らかの措置を講じなければならない」と理解を求めた。設置するかしないかの判断は示さず、「市民の声」が5月25日に市議会に提出した「市役所敷地内に喫煙場所を設置しないことを求める請願書」に期待を込め、「採択されることをお祈り申し上げている」と述べた。

　学習会の司会者は「福岡市長が議会に対するジレンマや屈辱感を抱えながらも、決意を込めて発せられたメッセージだと思う」と評価した。

　請願書は6月6日に始まる市議会6月定例会で審議される。 関連記事へ