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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

香芝市、庁舎屋上に職員・議員の喫煙場所 来月には来庁者用も 議会決議受け

香芝市役所屋上に設置された職員・議員用の喫煙場所=2022年8月25日、同市本町

香芝市役所屋上に設置された職員・議員用の喫煙場所=2022年8月25日、同市本町

 奈良県香芝市は8月27日までに、市役所庁舎屋上に職員・議員用の喫煙場所を設けた。来月には別の場所に来庁者用を設ける。受動喫煙防止を理由に屋外分煙施設の整備を求める昨年12月の議会決議を受けたもので、2018年から実施されてきた市役所の敷地内全面禁煙は後退した。

 2018年7月の健康増進法改正で、同法が第一種施設と呼ぶ病院や学校、行政機関などは2019年7月から原則敷地内禁煙となった。喫煙禁止場所で喫煙した場合、罰則の対象となる。一方で、建物の裏や屋上など、施設の利用者が通常立ち入ることのない場所に「特定屋外喫煙場所」の設置は可能とした。

 ただ、同法を所管する厚生労働省は特定屋外喫煙場所について、都道府県知事などにあてた通知で「推奨するものではないことに十分留意すること」と注意を促している。

 市管財課によると、職員・議員用の喫煙場所が設けられたのは5階建て庁舎の屋上の一角。広さ10平方メートルで、黄色のブロックで区画、足元の防水シートを保護するため耐火の敷物を施し、「喫煙場所」の標識を掲示した。囲いや屋根、灰皿はない。今月25日に設置が完了した。

 来庁者用は9月中に市役所敷地の北西隅に設ける予定。喫煙場所となる区画をパネルで囲う形態という。

 市は決議を受け、今年6月の市議会定例会に喫煙場所の工事費50万円を含んだ一般会計補正予算を提案、賛成多数で可決された。

 同市役所の敷地内禁煙は2018年4月、市受動喫煙防止条例の施行と同時に始まった。条例に敷地内禁煙の規定はないが、条例の趣旨を踏まえて実施された。条例は、当時市議だった福岡憲宏市長が発議したものだった。庁舎の敷地内禁煙は県内市町村で3例目だった。

 一方で、同市では市職員が昼の休憩時間に、市役所近くのコンビニエンスストア敷地の喫煙場所で喫煙するということが常態化していた。また議員にも喫煙者がいる。

 決議は全会一致ではなく、採決に加わらない議長を除く議員15人のうち5人が反対した。決議に対しこの間、市民団体「喫煙所新設に反対する市民の声」(曽根秀一代表)が喫煙場所の設置に反対する請願書を議会に2度提出したほか、市長に対しても設置しないよう求める要望書を市民ら約3600人の署名を添えて提出している。

 福岡市長は今年5月、同団体の学習会に「市役所内に喫煙所をつくるべきでない」とのビデオメッセージを寄せていたが、議会の決議は重く受け入れざるを得なかった。 関連記事へ

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