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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県域水道一体化、山下知事の見直しで新たな議決必要か 大和郡山市議会一般質問で論議

大和郡山市役所=2023年9月19日、同市北郡山町

大和郡山市役所=2023年9月19日、同市北郡山町

 奈良県大和郡山市議会定例会の一般質問が9月19日行われ、県域水道一体化計画を巡って山下真知事が検討している料金の在り方や統合時期などの見直しに対し、議会が一体化参加に向けてすでに可決している関係議案の議決のやり直しが必要になるのかが論議された。

 徳野衆議員(共産)が取り上げた。関係議案は今年3月の定例会で1票差で可決された。同議員は「荒井正吾前知事当時の基本計画、基本協定を前提にしたものであり、新知事が内容を変えれば、議決は取り消しとなるのか」と尋ねた。

 市上下水道部の富田豊部長が答弁し「一般論としては(企業団設立協議の)構成団体に変更が生じた場合は新たな議決が要る。(水道経営などの)新たな方針が示された場合は、議決が必要かどうかは一体化事務局(県水道局)と協議する」とした。

防災の観点からくぎ刺す

 前知事が進めた事業開始当初からの廉価な統一料金による26市町村と県営水道との垂直統合計画を山下知事が批判したのは今年7月21日の第1回法定協議会。これより18日前の同月3日の大和郡山市議会定例会で、徳野議員は、一体化計画に基づく市営北郡山浄水場(水源・地下水)の廃止に防災の観点から反対する意見を述べていた。

 これに対し富田部長は「一体化後も存続する昭和浄水場は、災害時に県北西部の給水拠点になり得る。緊急時の迅速な給水バックアップ機能などが見込まれる。また、大規模災害が発生したときは、日本水道協会(全国の水道事業体で構成)が、被災していない地域から被災地への給水活動を行うための職員・給水車派遣による給水活動を行う。相互応援態勢がある」と答弁した。

 同議員は、南海トラフ地震を想定した日本水道協会の提言を引き合いに出し「給水車の要請について発生から3日間は病院など人命救助に関わる施設に限定するという方向を出している。南海トラフは奈良県内すべて同一規模の被害想定であり、大和郡山市より水道管の耐震化などが遅れている多くの自治体から救援を求められる可能性が高い。災害時は入院患者が通常の2倍、外来は5倍とされ、がれき圧迫などの治療に大量の水が要る。県北西部の多くの病院と北西部県民67万人に昭和浄水場の1日最大1万2000立方メートルが果たして行き渡るのか。大和郡山市民の救済にはどれだけ回るのか疑問」と批判した。 

 その上で「1日4500立方メートルの水道を生み出す北郡山浄水場を残すことが助け合いにつながる。分散エネルギー、分散資源の確保・拡充が大切な時代」と訴え、自己水源を減らす一体化計画(地下水や県営ダムを水源とする4市5浄水場を廃止)に反対する意見を述べた。 関連記事へ

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