知事の議事録未作成に「方針転換検証のため必要」 事業中止巡り奈良県議会代表質問で議員が指摘
奈良県議会=2023年7月、奈良市登大路町
奈良県議会の定例会は9月21日、代表質問を行い、議会が議決した事業に対する相次ぐ廃止を打ち出す山下真知事が、事業存廃を方向付けた会議の議事録を残していなかったことについて自民党・無所属の会の荻田義雄議員が取り上げた。
荻田議員は「議決した予算を執行しないことは県政における大きな方針転換であり、それを検証するためにも、そして責任の所在を明らかにする上でも、事業の廃止に向けた会議の詳細な議事録が必要」と訴えた。
さらに意思決定に関する文書作成については県行政文書管理規則5条が、事務や事業の実績を合理的に跡付け、または検証することができるよう、軽微なものを除き文書を作成しなければならないと定めていることから「コンプライアンス(法令遵守)上の問題はないか」とただした。
知事は「予算執行査定では、知事が変わった直後という特別な状況において、事業に関する資料を基に、担当職員からこれまでの取り組みや考え方などを率直に聞き、自由闊達(かったつ)な議論を交わし、より良い結論を出す目的を優先するために議事録を作成しないこととした」と説明した。
またコンプライアンス上も文書管理の在り方についても「問題はない」と答弁した。その理由として「議事録こそ作成しなかったが、担当部局の知事への説明資料、事務方が作成していた知事のコメントについてのメモ、それらを踏まえて作成された予算執行査定の結果およびその理由をまとめた文書の以上3点が作成されており、それらが県行政文書管理規則の5条に規定する文書に該当する」とした。