申請却下で困窮、原告女性が証言 奈良県生駒市の生活保護巡る国賠訴訟で尋問
生駒市の生活保護を巡る裁判が行われている奈良地裁=2023年12月26日、奈良市登大路町
母親による扶養意思が確認されたことを理由に生活保護申請を却下された奈良県生駒市の50代の女性が市を相手取り、国家賠償法に基づく損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が12月26日、奈良地裁(寺本佳子裁判長)であり、女性に対する尋問が行われた。女性は、申請を却下された後の困窮生活などについて証言した。
訴状などによると、女性は1人暮らしをしながら生活保護を利用していたが、市は2020年12月、母親との同居を前提に保護を廃止。しかし、同居には至らず、女性は生活に困窮。2021年4月と同年7月の2度、保護を申請したが、市はいずれも却下した。母親は年金生活を送っており、要介護2で認知症を患っている。女性は精神疾患がある。
原告側の代理人弁護士による尋問では、女性は保護の廃止後、電気・ガスが料金未納で止まり、夏冬は暑さ寒さで夜眠れなかったことや、食事を十分取れず1日3食を食パンばかり水で食べたことなどを証言した。
先月16日には被告側の生駒市の生活支援課職員に対する尋問があった。職員は母親に扶養能力があると判断した理由について「家(実家)も広く、本人(女性)の部屋もある。掃除もきちんとされていて、困窮している様子はうかがえなかった。受け答えもしっかりしていた」などと証言している。
裁判は次回3月5日の口頭弁論で結審する予定。
女性に対する生活保護は2021年12月、奈良県の裁決を受けて開始されている。女性が県に対し、市の申請却下を取り消すよう求めた審査請求が認められ、市がこれに従った。 関連記事へ