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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県広域水道企業団への大型財政支援始まる 県と国、10年間で423億7000万円

国、奈良県の助成なども生かし、更新計画が具体化する県広域水道企業団の昭和浄水場(地下水)=2023年10月、奈良県大和郡山市額田部北町、浅野詠子撮影

国、奈良県の助成なども生かし、更新計画が具体化する県広域水道企業団の昭和浄水場(地下水)=2023年10月、奈良県大和郡山市額田部北町、浅野詠子撮影

 今年4月から事業を開始する奈良県広域水道企業団(26市町村水道と県営水道の統合)に10年間で211億円の特別な財政支援をする県は、2025年度当初一般会計予算案に初年度分の14億5290万円を計上し、2月25日開会の県議会2月定例会に諮る。

 経営格差の著しい26市町村水道の状況を踏まえ、事業を安定させるなどの狙いで参加団体エリアの水道管耐震化工事などに充てられる。同企業団は今後30年間で水道管、浄水場更新などの施設整備に約4161億円を投じる見通し(県水道局試算)。

 同企業団は特別地方公共団体である一部事務組合の形態となることから、支援は別団体への助成に当たるため、出資の形をとる。水道事業は独立採算を原則とするが、公的な役割を担うことから、総務省は繰り出しを認めており、同省の基準の範囲内の金額という。

 県水・大気環境課によると、水道統合の協議から離脱した奈良市と葛城市の水道事業に対しては、県独自で支援する施策はない。

国補助金は県公表額より1億7000万円の増

 県広域水道企業団に交付される国の補助金は、県が公表した額より1億7000万円多い212億7000万円(10年間)となる見通しであることが「奈良の声」の取材で分かった。これにより支援額は県と合わせ、総額423億7000万円になる。県の支援額は、国の補助金と同規模にすることを荒井正吾前知事が決めた。

 国土交通省近畿地方整備局河川部の水道担当によると、2025年、2026年度に磯城郡内の水道工事に対し、この1億7000万円を交付する予定。国は、来月解散する磯城郡水道企業団(設立2022年)に対し、2017年から10年間にわたって交付する約束を当初にしていた。同担当は「磯城郡の広域化事業は県広域水道企業団に引き継がれ、妥当な交付」と話している。

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