奈良県広域水道企業団で初議会 建設投資200億円の予算案を可決
奈良県広域水道企業団の初議会で議長に選出され、あいさつする吉田雅範氏(中央奥)=2025年2月20日、奈良市三条大路1丁目の県コンベンションセンター、浅野詠子撮影
今年4月1日に事業開始する奈良県広域水道企業団(26市町村水道と県営水道の統合、一部事務組合)の初議会(定数38)が2月20日、奈良市内で開かれた。議長に吉田雅範氏(五條市議会)、副議長に山本隆史氏(平群町議会)を選出し、初年度の予算案を可決した。
予算の内訳は、水道料金などで構成する収益的収入が257億円2500万円、水道水を製造する経費などで構成する収益的支出が254億8400万円で2億4000万円の黒字を計上した。
また、市町村エリアの老朽水道管の更新、基幹施設の御所浄水場(水源・大滝ダム)整備などに充てる建設投資約200億円を含む資本的支出が243億7000万円、その元手となる国庫補助金や県からの財政支援となる繰入金などで構成する資本的収入が52億円、収支不足を補う内部留保金からの補填(ほてん)が191億円となった。
内部留保金については、企業団発足前に統合に参加する市町村が持ち寄る資産の在り方が論議となった。持参する内部留保金が大きいほど老朽水道管の更新が優先されるルールができた。その期首残高は518億円。事業スタートの2025年度は起債(企業債)の発行はゼロとなった。情報公開条例についても専決処分が承認された。
3人の議員が質問。木沢正男議員(斑鳩町)は、水道管破損などによる道路などの事故を未然に防ぐ対策について尋ねた。企業長の山下真知事が答弁し「企業団発足前に協議した老朽管の更新計画を着実に進めることが事故の防止策。加えて、県営水道はこれまで管路内の圧力を受水地で監視し、圧力の変動を察知することで大規模な漏水を未然に把握してきた。市町村エリアでも定期的な監視を続け、今後はデジタル技術を活用した対策も検討、研究したい」と述べた。
議場には報道関係者のほか、一般の傍聴者もいた。
同企業団の給水先は約38万戸。