ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の埋もれた問題に光を当てる取材と報道


ジャーナリスト浅野詠子

大滝ダム貯水率、過去最低 奈良県企業団、水道統合で地下水・北郡山浄水場の廃止4月に控え

水位が著しく低下し、護岸がむき出しになった大滝ダム=2026年2月6日、奈良県川上村、浅野詠子撮影

水位が著しく低下し、護岸がむき出しになった大滝ダム=2026年2月6日、奈良県川上村、浅野詠子撮影

 奈良県の水がめ、川上村の大滝ダム(国土交通省)の貯水率が2013年の完成以来最低の7.6%まで低下している。昨年4月に事業を開始した県広域水道企業団(県営水道と26市町村営水道を統合)の主要水源。企業長を務める山下真知事が2月4日の定例会見で発表した。知事は、県民に節水を呼び掛け、地下水の意義についても言及したが、同企業団は、地下水を水源とする大和郡山市植槻町の北郡山浄水場を予定通り4月に廃止する。

 同企業団のもう一つの水道水源ダム、室生ダムの水位も低下。同企業団の見通しでは、今後、平年並みの降水量があった場合でも、4月以降時間給水を実施する可能性が高い状況としている。

間もなく廃止される北郡山浄水場=2026年2月6日、奈良県大和郡山市植槻町、浅野詠子撮影

間もなく廃止される北郡山浄水場=2026年2月6日、奈良県大和郡山市植槻町、浅野詠子撮影

 全県的に少雨の傾向が続き、企業団に参加していない奈良市の水道水源、布目ダム(山添村、水資源機構)の貯水率も昨年同期の約半分の43%に低下したため、水資源機構を監督する国交省は2月6日、10%の取水制限に踏み切った。

 比較的渇水に強いとされる地下水。これを水源とする奈良盆地の市町村の浄水場を巡っては、荒井正吾前県政が2019年ごろから水道統合の構想を具体化する過程で、すべて廃止する方針を打ち出した経緯がある。浄水場を一つでも多く減らせば、水道統合の効果額を大きく見せることができた。大滝ダムの渇水は想定しなかった。

 当時、統合の協議に臨んだ28市町村の首長や議会から浄水場廃止に異論はなかった。「奈良の声」は地下水浄水場の廃止に伴う防災上のデメリットを検証。また、大滝ダム(建設事業の県負担金約600億円)に大きく依存する水道統合は、導水距離の長さや大量の堆砂問題などから不経済ではないかと疑問を投げかけた。

 その後、奈良市と葛城市が統合協議から離脱。県は水道の安定供給などの観点から、生駒市の真弓浄水場と大和郡山市の昭和浄水場の二つの地下水浄水場については残すことを決めた。

 奈良市は1966年、想定外の人口増により市内の一部地域で20日間の断水事故を起こしたことがあり、大阪市、京都市などの給水車や自衛隊大久保駐屯地(京都府内)の給水部隊などにも助けられた。このとき緊急水源として市が注目したのが地下水で、市西部の富雄川沿いの水田付近で深度150メートルの井戸が掘られたという。

 県広域水道企業団・大和郡山事務所は2月6日、「奈良の声」の取材に対し「北郡山浄水場は(予定通り)4月1日から廃止する」と話した。市の中心部に位置し、市内約2割の給水を担った。廃止されるエリアには、大滝ダムを主水源とする旧県営御所浄水場の水道水を供給する。

井戸水源巡る知事説明、不正確

 山下知事は定例会見で、統合参加市町村のうち、生駒、大和郡山、天理など複数市町村内に水道水源の井戸があることについて触れ、「今まで、例えば生駒市の井戸からくんだ水は、企業団になる前は生駒市内でしか使えなかったが、企業団設置によって、生駒市以外にも流すことができるようになり、今のところ給水への影響はない状況」と述べた。

 しかし、この説明には不正確な部分がある。

 奈良、生駒、大和郡山、天理の4市は阪神淡路大震災をきっかけに、緊急時に水道水を融通し合えるよう、各市の境界付近に相互融通管を設け、4市で管理してきた。奈良市を除く3市は、水道統合に参加したが、相互融通管は今後も有事の際に速やかに運用できるよう、奈良市と企業団で継続して管理していくことを奈良市企業局のホームページで知らせている。

筆者情報

県域水道一体化を考える

読者の声