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地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良市・浅野善一
ジャーナリスト浅野詠子

奈良県)患者30人中、入院日数1000日超は8人 医療観察法協議会でやまと精神医療センターが報告

 傷害などの事件を起こし、不起訴や無罪になった精神病者を収容して強制的な薬物療法などを行う医療観察法を巡り、法務省奈良保護観察所は22日、2018年度の医療観察制度運営連絡協議会を開き、奈良県内の関係医療機関や保健所の担当者らが出席した。同法専用病棟のある国立病院機構やまと精神医療センター(同県大和郡山市)は、入院患者30人の個別の入院日数を明らかにし、1000日を超えて収容されている人は8人、最長で5年間(1864日、10月末現在)にわたって身柄の拘束が解けない人がいることが分かった。

 厚生労働省は法施行当時、18カ月程度の入院期間を想定し、強制治療の仕組みを設けた。しかし同センターを退院した66人の平均在院日数は、全国の観察法病棟と同様に長期化し、981日に上る。制度上、反省の態度を示すことが難しい障害を持つ人などは、早期に退院させない運用が行われている。

 奈良保護観察所によると、病状が回復しても、精神障害者という理由で賃貸住宅を利用することが困難なケースや、保証人を確保することが難しい事例があると報告した。こうした状況は、法が施行された13年前から指摘されている課題であり、法がうたう当事者の社会復帰の理念と地域の実情との乖離(かいり)を物語る。

 今回の協議会では、ある他害行為に及んだ精神障害を持つ人が、精神保健福祉法と医療観察法の2つの法令の対象となり、二重の強制入院を余儀なくされた事例について、奈良市内の関係医療機関の職員が発言した。

 職員によると、この障害者は当初、知事などの行政処分によって、精神保健福祉法に基づく強制入院(措置入院)の対象になり、4カ月間、入院していたが、症状が改善し、強制入院の措置が解除される予定だった。

 一方、検察官は、刑事責任を問えない精神障害者を対象にする医療観察法の申し立てを地裁に行い、裁判官が鑑定入院を命じた。同法の処遇を決めるための精神鑑定は通常、2カ月間ほど行われ、鑑定を主目的とする強制入院の性格上、積極的なケアが行われないケースが少なくない。結果として、治療の中断という障害者の不利益になりかねない事態が起きていたとみられる。

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