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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

県描いた一体化一気 市町村の県営水道との統合志向、3年前は3割 奈良県実施のアンケート開示で判明

一体化により廃止が計画されている市町村の自己水浄水場=生駒市真弓2丁目の市営真弓浄水場

一体化により廃止が計画されている市町村の自己水浄水場=生駒市真弓2丁目の市営真弓浄水場

 県域水道一体化の企業団設立に向け、奈良県と参加予定市町村は本年1月、覚書を交わしたが、3年前の2018年、県が、参加が想定される28市町村に対し実施したアンケートによると、「県営水道との統合が望ましい」と回答したのは、生駒市や宇陀市など全体の3割程度の8市町村にとどまっていたことが、県情報公開条例に基づき県が開示した文書から分かった。

 葛城市など4市町村は、近隣自治体との水平統合を模索していた。橿原市など4市町村は、統合の形について判断を示していなかった。多様な意見が出たが、以後、短期間のうちに、県の描いた通りの県営水道中心の垂直統合への合意が一気に進んだことになる。

 アンケートは2018年1月から3月にかけて県地域政策課が実施した。県はその前年10月、市町村営の自己水浄水場の大半を廃止することなどを柱とした県営水道と28市町村による垂直統合を打ち出していた。

 設問は58の項目。このうち「広域化を導入する際、望ましいと思われる形態について」の質問に対し、県営水道との垂直統合を支持したのは8市町村。うち天理市は「スケールメリット(規模の効果)、自己水源の水質悪化や渇水などの懸念解消、財政面などから望ましい」と具体的な考えを寄せた。

 一方、水平統合といわれる市町村同士の広域化を支持したのは4市町村。上牧町は「広域すぎると実務上厳しいと思われる」と述べ、川西町は「周辺の自治体との統合で十分」とした。また、他の市町村との水平統合を経た後に県営水道と垂直統合することが望ましいと考えていたのは、御所市など5市町村だった。

 奈良市や桜井市など5市町村は垂直、水平のいずれの統合の形態とも距離を置き、「施設の共同化または第三者委託制度の活用など管理の一体化」について模索していた。

 統合の形について判断を示さなかった4市町村のうち、橿原市はすでに県営水道100%の受水を選択した団体。市は「広域化の形態について現時点での順位付けはできない。十分な検討が必要」と訴えた。同様に判断を示さなかった平群町は「メリット、デメリットなどの判断する材料がない」とし、斑鳩町は「現在においては広域化は考えていない」と回答した。

 統合の時期についての考え方を尋ねたところ、「分からない」とした市町村が半数。生駒市が「20年以内」、上牧町が「30年後」と回答していた。この時点では、急いで結論を出すべき時期に当たらないとの意識がうかがえる。

 また、事業統合または経営統合を進める際に想定する課題は何かという問いに対し、「料金の格差」と答えたのは奈良市など19市町村。「財政状況の格差」と答えたのは大和郡山市など18市町村だった。同じ質問に対し「水道の使用者と議会の理解」が事業統合の課題になると回答したのは香芝市、奈良市など12市町村あった。

 ここでいう水道の使用者とは主に住民や事業所が当たる。覚書の案などについてパブリックコメントは行われていない。住民を取り巻く暮らしの水道事情が大きく変わろうとしているが、広域化や単独経営の在り方、水源までの長短を審議する研究者らの第三者委員会は開かれていない。

 県水道局の一体化推進係は、新年度から県域水道一体化準備室に昇格した。担当者は「いまのところ第三者委員会を開く予定はない」と話す。 関連記事

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