県域水道一体化 覚書の締結25日に 関係市町村に出席要請
奈良県と県内27市町村による県域水道一体化に向けた覚書の締結が今月25日、関係市町村長出席の下、奈良市内のホテルを会場に予定されていることが、複数の関係自治体への取材で分かった。
県の一体化構想によると、大滝ダム(川上村)を主水源とする県営御所浄水場などを基盤とし、地下水などの市町村営浄水場11カ所を廃止する。国が進める水道の広域化政策に呼応し、厚生労働省から400億円近い交付金(県広域水道企業団の開業から9年間の合計)が入る見通し。戦後、市町村ごとに独立採算で営まれてきた県内水道事業が様変わりする。
これら市町村のうち最大規模の水道事業を営む奈良市は「仲川元庸市長が覚書の締結に参加する方向で調整を進めている」(市秘書課)という。県の方針では、同市営緑ケ丘浄水場を残し、一体化後の浄水場として2034年までに企業団が164億円を掛けて必要な整備をする。
一方、県内市町村の中で特に水道経営が良好で給水収益に対する保有資産の比率が最も高い大和郡山市は、覚書への参加を見送った。
覚書は、議決を不要とする略式の合意書で12条から成り、A3判用紙1枚程度。2024年度までに企業団を設立し、2025年度までの開業を目指すことや、参加する団体の水道事業資産を引き継ぎ、水道料金を統一することなどが示されている。
一体化には一部事務組合の奈良広域水質検査ーセンターも参加する。
県水道局業務課県域水道一体化推進担当者は「覚書締結に市町村長の出席を要請しているが、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策も検討しているところであり、日時は公表できる段階ではない」と話している。 関連記事へ