一体化への不参加と市の自己水源の存続訴え 奈良県大和郡山市で水道問題考える学習会
一体化への不参加と市の自己水源の存続を訴えた大和郡山市の水道問題を考える学習会=2023年7月15日、同市高田町の市民交流館
「大和郡山市の水道問題を考える市民連絡会」が7月15日、同市高田町の市民交流館で学習会を開いた。奈良県域水道一体化への参加を巡って市議会での賛否が拮抗する中、一体化への不参加と市の自己水源の存続を訴えた。市民ら約90人が参加、経過報告や講演に耳を傾けた。
初めに徳野衆市議会議員(共産)が一体化を巡る市の現状について報告。「市の給水収益はこの先も黒字が続き、市の単独経営は可能。自己水(地下水)の比率を上げれば水道料金も低く抑えられる」との見通しを述べ、地震などの災害時にも独自の地下水源は有効とした。
続いて、講師として招かれた「奈良の声」のジャーナリスト浅野詠子が「県庁主導の県域水道一体化に異議あり! これからの水源と水道自治を探る」の演題で講演。一体化への参加を見送った奈良市が実施した第三者委員会による検証が他の市町村では行われていないことや、県の情報公開が不十分なことを挙げてトップダウン式の一体化を批判、「大和郡山市の水道の80余年の歴史と技術に誇りを持って」と呼び掛けた。
参加者との質疑応答では、市の一体化参加を前提にした広報紙などでの説明の在り方に不満の声が上がるなどした。
県と26市町村は今年2月、水道事業統合に向けた基本協定を締結した。大和郡山市では現在二つある地下水浄水場のうち、昭和浄水場は存続するが北郡山浄水場は廃止されることになる。県広域水道企業団設立準備協議会(法定協議会)の設置議案など関連議案は3月の定例会で可決されたが、賛成10、反対9と賛否が拮抗した。
県は2025年4月の統一料金による事業開始を目指しているが、一体化に参加するには2024年9月か12月に予定されている各市町村議会での県広域水道企業団設立議案の議決が必要。これに向けて、今年4月に設立準備協議会が発足。現在、作業部会を設置し、実務協議の段階。 関連記事へ