料金体系や企業団議会の定数、本部の位置を了承 奈良県水道一体化の協議会
料金体系などを了承した県広域水道企業団設立準備協議会=2024年3月6日、奈良市内
奈良県域水道一体化を協議している県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事)の会議が3月6日、奈良市内で開かれた。知事と26市町村の首長らが出席、事業開始目標が来年4月に迫る中、料金体系や企業団議会の定数、本部の位置など事業方針の大枠が了承された。企業団設立には今年の9月議会で参加全団体が議決を得る必要がある。
不参加市町村への供給単価、大口需要層料金値上げ
料金体系では、一体化事務局の県水道局が示した試算によると、2025年の事業統合予定時点で参加市町村の料金が統一され、一般家庭で月当たり20立方メートル(口径20ミリ)を使用した場合、25市町村で料金が下がる。
一方、中・大口需要層の値上げを想定した料金案も示された。現行料金と比べて中・大口需要層の料金が値上げとなる21市町村には5年間の経過措置が設けられる。
値上げ幅が大きくなる天理市の並河健市長は「企業立地に影響しないか。水道の中・大口需要層の中には介護事業者も多く、厳しい経営環境に置かれている」と意見を述べた。
事務局の試算では月当たり300立方メートル(口径40ミリ)使用した場合、料金は10万円。現行は天理市と高取町が7万円程度。大和郡山市と広陵町が8万円弱。1000立方メートル(口径75ミリ)使用した場合の料金は40万円程度になるという。
事業開始後の5年間で833億円の料金収入が確保されるという。大口需要層が家庭の低廉な水道を支える仕組みは、公共料金の内部補助ともいわれる。
また、一体化に参加しない市町村への用水供給単価については、現行の県営水道と比べ、1立方メートル当たり6円値上げの136円とすることを決めた。奈良市と葛城市が一体化の協議から離脱している。
県水道局は2021年、県営水道経営戦略策定に伴い実施したパブリックコメントで一体化構想については「不参加団体の不利益になるようなことはしない」と回答していた。
県営水道の受水率は奈良市が約1割、葛城市が約2割。県営水道の供給単価は、他府県と比較し割高であることを県の包括外部監査で指摘されている。
企業団議会については定数を38人とした。配分は県議会が3人、市町村議会が人口規模に応じて10万人以上は3人、5万人以上10万人未満は2人、5万人未満は1人。企業団の本部は田原本町宮古の県有土地・建物(現在は田原本町保健センターとして使用されている)に置く予定。
協議会後の記者会見で山下知事は「中・大口需要層料金値上げの5年間の経過措置終了後の対応が重要な課題と受け止めている」と話した。 関連記事へ