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浅野善一

諮問機関委員に議員選任せず 奈良県香芝市長が二元代表制踏まえ方針 対象13機関

奈良県香芝市役所=2024年6月26日、同市本町

奈良県香芝市役所=2024年6月、同市本町

 奈良県香芝市は、市の諮問機関の委員に原則として市議会議員を選任しない方針を決め、7月22日発表した。二元代表制の趣旨を踏まえた措置で、13機関について今後、議員を委員に選任しない。今年5月に初当選した三橋和史市長は、現議会と市の関係を問題視、適切な距離を保つ必要があるとの考えを明らかにしていた。

 市の諮問機関には有識者や市民のほか、議員を委員に選任しているものがある。市は、市付属機関設置条例のほかその他の条例や規則、要綱で設置されている市の付属機関や会議体を対象に、過去に議員を選任していた時期があった場合も含め確認したところ、総数79機関のうち22機関が該当することが分かった。

 見直しの対象となった13機関は都市経営市民会議や市地域福祉計画策定策定員会、国民健康保険運営協議会など。規則や要綱で議員の選任が定められている場合は、これらを改正する。現在、委員に就任している議員は任期満了日まで務めてもらう。

 一方、議員の委員選任を継続する残りの9機関は都市計画審議会や民生委員推薦会、市農業委員候補者評価委員会など。都市計画審議会は法律に定めがあり、民生委員推薦会は民生委員の成り手不足の問題から議員の協力が必要と考えられるためという。

 市企画政策課は「二元代表制の趣旨に鑑み、見直しを行った。執行機関が議員と意見交換すること自体を妨げるものではなく、引き続き積極的な意見交換をしていく」としている。

 中谷一輝副議長(維新)は三橋市長の方針について「今までの市長は議員の意見も聞きたいと委員を委嘱していた。(付属機関等には)議員と職員の会議のほか、法令に基づく会議や市民や有識者が入っている会議などいろいろある。そこを今の市長は、二元代表制だからというのではなく(議員に委員を委嘱する会議としない会議に)仕分けしただけ」と話した。

 7期目のベテラン、中川広美議員(enjoy香芝)は「いろいろな議案(につながる問題)について、議員に先に(付属機関等の)審議に参加してもらっていたら、議員も(議会で意見を)言いにくく、執行機関側にとって議会審議がスムーズに進むという面もある。議会から委員に入れてほしいと要望していたわけではない。(委員でなくなれば)議員も遠慮なく議会で言える。本来の姿に戻ったと思う」と話した。

 三橋市長は就任後、福岡憲宏前市長時代に川田裕議長の提案で設置され、同議長が会長に就任していた市公有財産有効活用検討会議を廃止している。同会議で検討された小学校統廃合の基本方針は、昨年3月の議会に市教育委員会から提案され可決された。同会議に対しては議会の一部や小学校の統廃合に反対する市民から批判があった。

 県内では、生駒市が「付属機関及び懇談会等の取り扱いに関する指針」を制定し、委員については「第三者機関としての位置付けを踏まえ市議会議員や市職員を選任しない」と定めている。

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