浅野善一
奈良県)奈良市西ふれあい広場住民訴訟 地裁、取得土地の鑑定実施 価格適正か判断
奈良市の西ふれあい広場計画で市土地開発公社に不必要な土地を高額で先行取得させたのは違法として、市を相手取り、当時の大川靖則・元市長らに損害賠償請求するよう求めた住民訴訟で、奈良地裁は12日までに、土地の取得価格が適正だったかどうかを判断するため、不動産鑑定を実施することを決めた。原告住民からの鑑定実施の申し出を採用した。
原告側によると、地裁は大阪市の不動産鑑定士を鑑定人に指定、鑑定結果を6月30日までに報告するよう命じている。鑑定では、土地を取得した当時の適正価格の算定などが行われる。
広場用地の取得価格については、市土地開発公社経営検討委員会(委員長・出水順弁護士、5人)が2011年の報告書で、「鑑定額を融通してくれる鑑定士を選んでいたとのことであった。当時の鑑定士の選定方法・鑑定評価手法の客観性には疑問を持たざるを得ない」と指摘している。
同計画は、地元の地主が91年、障害者福祉のためにと市に寄付した山林内の土地約2000平方メートルが発端となった。土地に進入路がなかったことから、周辺の土地を買い足して公園にする計画に発展したが、周辺の土地も大半がこの地主の所有だったため、94~2000年、同地主の土地を中心に、山林など計約4万8000平方メートルを約18億円で取得する結果になった。しかし、計画は頓挫し、土地は塩漬けとなった。訴訟で原告側は、計画は地主の土地を買い上げるためだったと主張している。