県域水道一体化反対の請願を全会一致で採択 大和郡山市議会建設水道委
奈良県が進める県域水道一体化の計画に大和郡山市が参加しないことを求める市民の請願が11日、開会中の同市議会3月定例会建設水道委員会(吉川幸喜委員長)で、全会一致で採択された。
定例会最終日の今月22日、採択・不採択の採決が行なわれる。本会議で請願が採択された場合、議会は上田清市長に請願書を送付し、請願に対する処理と経過と結果についての報告を請求する。
請願書は、同市の上水道は豊かな地下水源を活用して県内でトップクラスの経営成績と低廉な料金を誇るとして、渇水、防災に強い水道の存続と充実を求めている。
委員会では、請願紹介議員として丸谷利一氏(無所属)が意見を述べ、2018年度、香川県と16市町村が統合した水道事業を引き合いに出し、奈良県の統合方針と比較。同県では統合の10年後に、統合に参加した市町村が持ち寄る内部留保資金について、年間水道料金の半分程度になることを目指しており、仮に香川の方式で算定すると、大和郡山市の持ち出しは10億円程度になるとした。
こうした事例から、同氏は奈良県の一体化について「資産をすべて持ち寄る県方針の押しつけがある」と批判した。
また、上田健二委員(共産)は、「奈良の声」がことし1月24日付で報じた、一体化の水源7ダムの老朽化に伴う維持管理費やダム湖で増え続ける堆砂対策費用の将来負担問題を取り上げ「県の一体化水道料金試算はもっと高くなるのでは」と述べた。
傍聴席では、請願に署名した市民らが熱心に耳を傾けた。
大和郡山市は昨年6月、一体化への参加を踏まえ、水道会計の内部留保資金82億円のうち約28億円を一般会計に移転した。荒井正吾知事はこれを「隠した」と非難、市は広報紙で正当性を主張した。上田市長は、ことし1月の一体化に向けた覚書締結に参加しなかった。 続報へ