公文書の開示請求、住民以外も可能に 奈良県桜井市が情報公開条例改正 市議会3月定例会に提案
桜井市の現在の開示請求書。「請求者の区分」欄には請求者の条件が示されている
奈良県桜井市が、市公文書の開示請求権を住民に限らず何人にも認める市情報公開条例の改正案を、3月1日開会の市議会定例会に提出することが分かった。現在、県内市部では12市中8市が何人にも開示請求権を認めており、改正案が可決されれば9市目となる。
現条例で開示請求権が認められているのは市内に住所のある人のほか、市内に事業所や事務所を有する個人・法人その他の団体、市内に通勤・通学している人、市の事務事業に利害関係がある人などに限られている。改正では、公文書の開示を請求できる人を定めた第5条の条文を「何人もこの条例の定めるところにより公文書の開示を請求することができる」などと改める。施行は4月1日。
市総務課は改正の理由について「住民以外の事業所や利害関係者などは特例として扱ってきたが対応が難しくなった。全国的にも住民に限定する市町村は減ってきた。今の社会に鑑みると少数派」と述べた。
桜井市を除き、県内市部で開示請求権を住民に限定しているのは葛城、宇陀、五條の3市。いずれも取材に対し、今のところ「何人も」に改める予定はないとした。葛城市は住民以外でも開示を求めれば、住民と同様に応じている。ただ、行政処分に当たらない任意開示のため、開示内容に不服があっても審査請求ができない。
開示決定までの期間は15日から30日に延長
同改正ではこのほか、開示請求書を受理した日から開示するかどうかの決定をするまでの期間を「15日以内」から「30日以内」に延長する。4月1日から地方公共団体にも適用される改正個人情報保護法が、同期間を「30日以内」としていることから、市の個人情報の開示決定までの期間もこれに合わせ、情報公開条例についても同様の期間にしたという。ただ実際の運用では、これまで通り早急な開示決定を行いたいとした。
改正個人情報保護法の地方公共団体への適用に当たって、開示手続きなどは各地方公共団体が独自に定めることができる。奈良市総務課は取材に対し、開示決定までの期間については「従来通り15日以内」とした。 関連記事へ