平群メガソーラー計画で地元5自治会そろって住民説明会を開催 開発業者への質問相次ぐ
山林が伐採された現場の画像を示しながら計画への疑問を述べる住民(左奥)=2024年3月9日、平群町吉新3丁目の町総合文化センター
奈良県が許可した平群町内の山林に大規模太陽光発電(メガソーラー)計画を巡り、反対する地元住民が許可の取り消しを求め訴訟に発展している問題で、周辺の5つの自治会が合同で3月9日、同町吉新3丁目の町総合文化センターで住民説明会を開催し、136人が参加。開発業者が出席要請に応じ、質疑応答は3時間に及んだ。
事業主の協栄ソーラーステーション合同会社(東京都港区)は先月3日、住民説明会を開いたが、住民側から説明不足などを理由に再度の開催を求める声が出ていた。
計画地の造成を巡っては、盛り土規制の法令強化に伴い県が規制区域の指定を準備していることから、地質の専門家は「ソーラー予定地で盛り土の上に調整池を設けることは排水の原則上問題があり、ここを規制区域に指定するよう山下真知事に求めたい」と意見を述べた。
調整池の洪水対策容量については「大幅に不足している」と訴える住民側と「県が認めた基準通り」と主張する業者側との間で意見が対立した。住民側は以前にも、業者の開発許可申請書の虚偽記載を見つけ、工事が中止になった経緯がある。このため参加者から「町役場の判断はどうなのか、確認する必要がある」との提案があった。
調整池の工事現場には、産業廃棄物があるのではないかと住民が指摘。これに対し、土木造成と設計を請け負っている村本建設は、ボーリング調査の結果、コンクリート小片などが確認され、また、表層部でがれきが見つかったことを認め「県廃棄物対策課に報告し、指導に基づき対応している」と述べた。
「住民にとって一体どのようなメリットがあるのか」との質問も出た。業者側は「平群町に本社を置く予定で、固定資産税や法人事業税が発生する」と答えたが、尋ねた住民は釈然としない様子だった。また「計画地下流の水域で絶滅危惧種のイシガメが産卵していた」と報告する人がいた。
開発業者の親会社に当たる法人の社是が「脱炭素社会の推進」であることから「山林を伐採するのは矛盾では」との声も。自治会側の世話人は「引き続き、住民が率直な意見を出せる場づくりに努めたい」と話した。
計画では同町櫟原の山林48ヘクタールにソーラーパネル5万8000枚を設置する。