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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県水道一体化 大和郡山市が2度目の市民説明会開催へ 市長、議会一般質問で表明

県域水道一体化について活発な議論が行われた大和郡山市議会定例会一般質問=2024年3月14日、同市役所

県域水道一体化について活発な議論が行われた大和郡山市議会定例会一般質問=2024年3月14日、同市役所

 奈良県大和郡山市議会の定例会一般質問が3月14日行われ、県域水道一体化への参加の是非を巡る質問が相次いだ。市は一体化の概要や協議の現状などをテーマに、昨年1月に続き2度目となる市民説明会を開く意思があることを明らかにした。

 北野伊津子議員(共産)が開催を求めた。上田清市長は「協議会(広域水道企業団設立準備協議会)の方向性が一定程度で固まってきた時点で、できるだけ早く説明会を開きたい」と述べた。上田市長は一体化推進派首長の1人。

 一体化の基本的な構想を巡っては2021年1月、27市町村と県が覚書を交わしたが、以後、市民説明会を開いたのは大和郡山市、生駒市、葛城市(協議離脱)のみ。第三者委員会を開いたのは奈良市(協議離脱)のみ。

 水道の経営状況が良好で、内部留保資金が県内トップの大和郡山市は議員の関心が特に高い。3月7日の市議会建設水道委員会でも再度の市民説明会を求める意見が出て、市側は「本年8月ごろの開催を検討したい」と方向を示していた。

 北野議員は一般質問の中で「8月では遅い。本年9月の議会の採決の結果により、一体化の参加・不参加が決まる。市民生活にとって大事な課題なので、できるだけ早く、小中学校区の単位で説明会を開いてほしい」と要望した。

災害対策踏まえた論議も

 また、能登半島地震被災地の深刻な断水問題を踏まえた市町村の自己水の在り方、一体化の是非についても、3月7日の建設水道委員会に続き論議された。

 経営状況や水道料金に著しい差がある奈良県内26市町村水道と県営水道を統合し、統一料金による2025年度の事業開始を目指す県主導の県域水道一体化。地震に強い強靭な水道管、水道施設を目指す。

 冨野孝之議員(大和郡山志政クラブ幹事長)は「単独で市営二つの浄水場を更新、維持する場合は大きな費用がかかる。また、通常は県営御所浄水場から大和郡山市に送水(県水受水率50%)されるが、県営桜井浄水場からも本市へ送水できる仕組みが一体化の態勢があり、バックアップ機能がある」とし「一体化に入れば、内部留保資金の大きさに応じて優先投資がなされ、水道管の更新率も現在の年間1.3%から1.5%に上昇し有利で災害に強くなる」と述べた。

 一方、丸谷利一議員(豊政・日本維新の会幹事長)は「一体化に入ると市内2カ所の浄水場のうち北郡山浄水場(水源・地下水)がつぶされる。自己水源の大事さは能登半島地震の被災地からも見いだせる。北郡山浄水場を失うことは、市民への安定供給にマイナス。内部留保資金と優先投資の方針は確実に保証されるものではない。水道会計に欠損金が生じている市町村は、一般会計からきちんと補填(ほてん)した上で一体化に参加すべきだ」と述べた。 関連記事へ

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