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浅野善一

閉会中の文書質問1人3問までに 奈良県香芝市、議会側が提案 市長提起の回数制限問題

議会基本条例の改正案の提案理由を説明する筒井寛議員(手前右)。手前左は三橋和史市長=2024年12月25日、奈良県香芝市議会、浅野善一撮影

議会基本条例の改正案の提案理由を説明する筒井寛議員(手前右)。手前左は三橋和史市長=2024年12月25日、奈良県香芝市議会、浅野善一撮影

 奈良県香芝市議会の議会基本条例に基づいて閉会期間中、議員に認められている市への文書質問を巡って、三橋和史市長側が提起した回数制限の問題は、議会側が1人1回3問までと提案、制限に理解を示すことで落ち着いた。12月25日の市議会臨時会で、議員の一部から同条例の改正案が提出され、可決された。

 同問題のきっかけは、文書質問の回数に制限がなかったことに対し、市長側が先の12月定例会に議員1人1回1問とする条例改正案を提出したこと。回答文書の作成が職員の大きな負担になっているという理由だった。しかし、審査を付託された総務建設委員会では継続審議となり、承認を得られなかった。市長は本会議での採決当日の16日、改正案を撤回していた。

 こうした経緯を経て、筒井寛議員(enjoy香芝)はこの日の臨時会に、3人の賛成議員を得て議員提出議案として改正案を提出。提案理由について「市議会基本条例は、行政に対する監査・調査機能、議決権の行使などを十分に果たすために制定されている。市長や市側から干渉を受けるものではない」とした上で、「市の事務執行に支障を来すまでの過度の負担が生じている可能性があるなら、量的制限を設定し、現状の改善を図ろうとするもの」と説明した。

 質疑では議員は提案議員に対し、「質問」の捉え方次第で数が変わってくるので「質問」の定義が必要ではないか▽数が制限されることで「質問」を絞らなければならなくなるが3問としたことの意図は―などの点をただした。

 筒井議員は「質問」数の捉え方については「本会議の代表質問で1問1答形式が成立している」と述べて、「1問」に対する共通認識があることを挙げた。「質問」を3問までとしたことについては「理事者(市)から1人1回1問と突き付けられたことに対し、その3倍の量を提案させていただいた」と述べた。

 採決では、出席議員16人のうち公明党会派の3人は全員退席して賛否を示さなかった。反対討論はなく12人(採決に参加しない議長を除く)が賛成した。同改正では「市長等は速やかに回答しなければならない」となっていた条文についても「…回答するものとする」と改められた。

 三橋市長は臨時会閉会のあいさつの中で、議会側の提案で文書質問の数に制限が設けられたことを念頭に「本日、議員皆さま方のご配慮をいただいたことをお礼を申し上げます」と述べた。

 市議会基本条例は、現在の議員が当選した直後の2021年4月に議員提案により制定された。

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