平城宮跡公園のはこもの見直し 「日本の食のはじまり奈良」テーマに民間施設誘致 県の部会が方向性 2031年度開業目指す
歴史体験学習館の元予定地などの整備の在り方を検討した平城宮跡周辺エリア部会の会議=2025年3月21日、奈良県庁、浅野善一撮影
歴史体験学習館計画の中止など、平城宮跡歴史公園(奈良市)の県営公園区域の大型箱物見直しを受けて、新たな整備の在り方を検討している県観光戦略本部平城宮跡周辺エリア部会(委員長・内藤廣東京大学名誉教授、10人)の5回目の会議が3月21日、県庁であり、これまでの検討結果を取りまとめた。「日本の食のはじまりは奈良」をテーマにソフト、ハードの両面で導入する機能の方向性が決定された。
対象区域は、荒井正吾前知事時代に歴史体験学習館が予定されていた朱雀大路東側地区、カフェなどが予定されていた平城宮跡南側地区、「朱雀門ひろば」として整備済みの朱雀大路西側地区の3カ所計約9万平方メートル。
この日の会議終了後、内藤委員長と山下真知事が会見を開き、取りまとめの内容を報告した。
ソフト面の取り組みとして示されたのは、「日本の食のはじまりは奈良」についてのストーリー性のある演出▽奈良の食文化に関するイベントの実施など。山下知事は「具体的な内容はこれから検討する」としたが、新年度からの事業開始を目指す。
ハード面では、奈良の食文化の強みを生かした飲食・物販施設やこれまでにない付加価値を提供できる宿泊施設の誘致が示された。2031年度の開業を目指す。
取り組みの具体的内容や事業手法、事業者の選定などについては、新年度から部会の中にテーマごとのワーキンググループを設けて検討を進めるとした。
内藤委員長は「平城宮は食文化の発信拠点だったのではないか。各地からさまざまな食材が集まった」として、「日本食ブームが世界中で巻き起こっている。そのルーツが奈良。インバウンドの方にも来ていただいて、食べて、平城宮跡を楽しんでいただければ」などと述べた。
山下知事は前知事時代の歴史体験学習館計画などとの違いについて「(以前の計画は)どちらかと言えば官主導だった。今度は民主導。手法も民設民営。民間のアイデア、ノウハウ、資金、事業に関する経験を行政として結集させて、観光客や住民のニーズに合致していく手法を取った」と述べた。
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